「ニットでしか、できないことを。」/Rinascente(リナシェンテ)ディレクター インタビュー

6月3日(土)から開催のRinascente(リナシェンテ)サマーニットフェア2023。
単独の開催は初となりますが、改めて「語れるニット」がコンセプトのRinascenteの事を、ディレクター渡邊氏に語って頂きました。

現在来春の企画を進めているという渡邊氏。

渡邊圭氏:フレックスフォアコーポレーション勤務
メンズニットブランドRinascente(リナシェンテ)K事業部ディレクター

—どのような流れで商品の企画を行いますか?

渡邊氏「日頃から情報収集は行っています。それが街中であったり、得意先さん、産地(工場関係者)だったりと色々です。24SSは今年展開しているニットもおかげさまで好調ですので、色数を増やして更に展開予定です。」

—今季はZABOUでも過去一の展開数となっているサマーニットですが、渡邊さん自身よく着ているニットはズバリどのモデルになりますか?

渡邊「やっぱり沼でしょうか笑 今日着ているのも2~3年前に購入したものになりますが、春夏の沼は綿×ポリの混紡糸を使用しているので、実際洗濯にも強いんです。」

—けっこう春夏も沼のイメージ強いですよね(笑)

●ジャケット 私物
●ニット Rinascente(リナシェンテ)  サイズ:46  ¥14,080-
●パンツ BARNSTORMER(バーンストーマー)  サイズ:M  ¥28,600-
●シューズ 私物
全て私物

渡邊「コーディネートがしやすいという点が一番よく着る理由です。今日はリネンのジャケットに、最近買ったBARNSTORMERのグレンチェックのファティーグでモノトーンに仕上げました。」

—確かに日頃ジャケットを着る方にとっては、襟周りの清潔感を保てる沼ネックは重宝しますよね。上品に見えますし。

渡邊「そうですね。あとは、サイズ違いで所有して気付いたんですが、襟の立ち方もジャストサイズの方がネック位置も高くなります。なのでジャケットのときは46で着用しています。」

—そうなんですか?

渡邊「サイズが大きくなると天幅(襟の全長)も長くなるので、同じ形でもサイズアップすると、襟が少し低くなるんですよ。」

—自分はカジュアルが多いのでサイズアップしていましたが、知らず知らずのうちに沼にハマっていたんですね。笑

渡邊「生地感も良くって、シャリ感がある独特の生地ながら、実は遮熱効果UVカットなど、実用的な面でも優れているんですよ。あと、元々白でも透けないニットを作ろうというのが、そもそものコンセプトでしたね。」

—かなり気に入っておられますね(笑)なので同じ糸を使用したポロも?

Rinascente(リナシェンテ) スキッパーポロ  ¥16,280-

渡邊「実際に沼かスキッパーが一番よく着るんですよね笑 実はこの形は8年前に一度作った形のリメイクになります。比較的スキッパーポロって、50代から上の年齢層には馴染みがあるんですが、それより下になるとあまり知られていない。自分自身もそうでした。ですが、実際に着てみるとボタンありのポロと比べると、良い塩梅のドレス感と少しのトレンディー感があって、襟の開きが絶妙だったり、着てみて分かることが多かったんです。」

—確かにトレンディ感はありますね。実際僕もRinascenteからリリースされて、初めてスキッパーポロの存在を知りました。ジャケットの収まりも良いですね。

渡邊「この2つはハイゲージの定番でして、普段着るときは上にジャケットを羽織ったり、シャツの中に忍ばせたり。そうかと思えば襟元に巻き物を差したりして楽しんでいます。ベーシックだからこそ応用が効くのが良いのですが、今年はもう少しそれ単体でのインパクトが欲しいなと。そこで同じハイゲージでも今回は少し趣向を変えて、このマルチボーダーのニットをリリースしました。このニット、突拍子の無いように見えながらも、実はうちのニットらしさが詰まった逸品です。」

Rinascente(リナシェンテ) マルチボーダーニットT  ¥18,480-

—確かに。今までのRinascenteのイメージとは少しかけ離れている気がしました。が、そうでもないと。

渡邊「イメージはアメリカ西海岸で着られているようなボーダーT。ただ、カットソーの仕様だとニットの意味がない。今までと同じくハイゲージ用のリブを採用。袖口は同じではなく、ガーター編みというニット専用の編みでカットソーらしさを表現しています。」

—よく見るとテンションの緩いリブになっていますよね。心なしか襟元も詰まっている気が…

渡邊「微沼ですね(笑)クルーネックだけど、沼まではいかない絶妙な所を狙ったというか。最近紺のブレザー流行っているじゃないですか。で実際にそれらに合わせて欲しいなというイメージで。カットソーでも良いんですけど、やっぱりニットの方が馴染むというか。」

—自分も今日着ていますが、絶妙にブレザーに合うんですよね。カジュアルなジャケットなのでカットソーでも良いんですが、ニットを着ることでスタイルが完成するというか。このカラーが絶妙に気に入っているのですが、今回西海岸風と、そうでないカラーリングもありますよね?

渡邊「もう一つはプレッピーを意識したボーダーです。(※名門私立進学校や一流大学に通う良家の学生を指す俗称。)リングジヂャケット×BARNSTORMERのプレッピージャケットから着想を得ました。」

—先の西海岸テイストよりも、ビビッドな色味が多く、海の香りよりかは自然豊かな地方の大学をイメージできます。重厚感のある明るい色味が、よりらしさを感じられます。

渡邊「元々、自分や父である社長が着たいと思うニットが製品になるのですが、ここ最近は自分自身も90年代のリバイバルを感じています。そういったところを反映させ、今自分が着たい+流行や自分の年齢も加味しています。」

—編地も変わっていますよね。

渡邊「元々鹿の子編みの予定だったのですが、間違えてサンプルが上がってきたのが発端。でも上がりを見てみるとこっちの方が良いなぁっていう仕上がりで。しっかりとハリがあって、聞くとあまりニットには使われない編みで、編み組織の真ん中に鹿の子があるという不思議な仕様。ニットジャケットなどの割としっかりと硬さを出す時に使われるということは分かっています。」

レディースで展開していたマルチボーダーのニット。ハイゲージの鹿の子編みなので、若干の透け感がある。

渡邊「元々レディースの方でこういったマルチボーダーのニットがあったのですが、見ての通りでけっこう透け感が出るのです。このニットの雰囲気なので、もう少し軽い編地でも良かったのですが、間違えて上がってきたサンプルがあまりにも良かったので、そのままで採用しました。」

—確かに!実際触ってみると、厚みが違うのは勿論、発色も異なりますね。

渡邊「あまりうちのニットで初年度から調子よく売れて。。。みたいなのは少ないのですが、こちらに関してはしっかりと見て頂いているなぁという印象です。実際、ZABOUさんでもけっこう売れていますよね?」

—僕らみたいなカジュアルなお店だと、特にこういったアメリカンテイストなものは、お客様にも馴染み深いんだと思います。あとは単純に自分が最近よく着る洋服にも相性が良いですし、何より欲しかったので(笑)」

渡邊「おかげさまで、こちらのニットもいろんなお店さんからたくさん追加頂いています。また、初年度ではありませんが、今年は特に動きが早いのが、和紙を使ったシリーズです。」

—これ、珍しくけっこうローゲージですよね。

Rinascente(リナシェンテ) 和紙ポロニット  ¥18,480-

渡邊「はい、毎年この時期頃になるとハイゲージがよく動いているのですが、実は(暑くなればなるほどローゲージ)という言葉があるくらい、暑い時期ほど気持ち良いんですよ。」

—それ、誰が言ってたんですか?

渡邊「昔の偉大な人やと思います。知らんけど(笑)…とまぁこれは冗談で、実際着てみると編み目が大きいので風をよく通すんですよ。勿論和紙だけでなく吸水性、艶感を出すためにコットンやレーヨンを混ぜ込んでいます。他の和紙糸にはない光沢感が売りです。」

—和紙ニット自体、他であまり見たことがないのですが、あんまり艶のあるイメージ無いですよね。

渡邊「この光沢感が、着ると渋さにつながるというか。実際この糸自体曲者で、加工方法が色によって異なるし、通常しないもしくは一回程度の加工が何回も行わないといけない。熟練の工場でないと作れないそうです。元々メンズであまり使われていない糸なので、数色を除いて別注色にしています。洗っていくと柔らかさも増しますし、艶感も落ち着きますが、その雰囲気が何とも良いんです。」

—めちゃめちゃ手間のかかる糸なんですね。確かにしっかりとした艶感で、リネンよりも柔らかい手触り。他では真似できない、というか見たことがない。編み柄も変わっていますよね。

渡邊「編みは変形鹿の子と言って、鹿の子編みの変化系です。丁度来季は新商品もですが、既存の商品もアップデートしていこうかなと。様々な編み柄でこの和紙を使っていきます。」

—これだけローゲージだと、鹿の子っぽくならないですよね。本当編み柄で印象が随分と変わりますよね。

「実は少し前にトライアルで上がってきたニットも鹿の子編みで。こちらはハイゲージ(3本取り)なので、また見え方も変わりますよ。」

—沼ですか。。笑

渡邊「勿論。笑 今まで夏物のニットから冬のキャッシュウールまでにけっこう差があったので、これは本当通年使うには丁度良いんですよ。ネックのリブなんかもカジュアルに見えるように2×1リブにしています。」

—確かにこれくらいだったらショーツの時期からでも良さそうですよね。袖まくりなんかして。

渡邊「本当そういうイメージです。ただ、カジュアルになり過ぎるのも逆に使いにくいので、裾と袖は1×1リブに。」

—締めるとこ締めて、カジュアルとドレスどっちにも振れるところとか、本当Rinascenteっぽいですよね。

本日3杯目のコーヒーを飲みながら、自慢のニットを語る渡邊氏。

渡邊「そういうところも、色んなお店さんに受け入れられているのかなと。基本的にベーシックというのがコンセプトなので、あまり砕けすぎないようには意識しています。僕自身カットソーは好きで、休日はニットかカットか悩ましいところですが、、、だからこそ、両方の良さが分かると思うんです。それで、僕たちはせっかくニットメーカーなんで、ニットにしかできない事をやらないといけないなぁと。」

—ニットでしかできないこと、そしてRinascenteにしかできないこと。たくさん教えて頂きました。渡邊さん、本日はありがとうございました。



さて、初の単独POPUP開催まで残り僅かとなりました。
イベント初日には渡邊さんの店頭接客もございます。
知れば知るほど深みのあるニットの世界。正に沼です。
是非店頭にて、冬だけではない夏のニットの世界を満喫して下さい。


『Rinascente(リナシェンテ)単独公演!サマーニットフェア』
6月 3日(土)~6月11日(日) ZABOU大阪
6月15日(木)~6月19日(月) ZABOU銀座
6月23日(金)~6月27日(火) ZABOU渋谷
全日 WEBSHOP

※WEB SHOPは期間中24時間(6/27は19時まで)ご注文いただけます。




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