ZABOU アイビーカタログ

こんにちは。
東京店スタッフの小坂です。

服を買う時は、自分なりにテーマを設けると迷走せずに済むような気がします。

「あの服、ちょっと気になるけどテーマには合わないなぁ」
「この服、今まで気にならなかったけど、テーマにはよく合うなぁ」

こんな具合に、テーマの軸さえブレなければ「気になったから買ってみたけど、コーディネートに馴染まない」なんて問題も生じない、という寸法です。

さて、僕の今季のテーマといえばアイビー・ルックです。
メンズファッションの完成版とも言われるくらいですから、押さえておきたいテーマの1つですね。
いわゆるアイビー的なアイテムが確立されており、それさえ揃えておけばらしくなるので、挑戦のハードルが低いのも嬉しいところですね。
ZABOUでもアイビー的なアイテムは一通り揃えております。

今回は、それらをカタログのようにご紹介させていただきます。
どうぞお付き合いください。

カレッジTシャツ

ハナを切るのはカレッジTシャツです。
名の通り、大学のロゴがプリントされたTシャツを指します。
アイビー・ルックがアイビー・リーグ(アメリカの8つの私立大学の総称)に端を発するものであることを考えると、最もアイビー的であるかも知れません。

〇Champion(チャンピオン)

チャンピオンのカレッジTシャツです。
大学名と、卒業年が胸元にプリントされています。
ピッタリめのサイズ感は、アイビー的な優等生らしさを思わせます。

B.D.シャツ

続いてはB.D.シャツです。
アイビーをテーマとするなら必須と言っても過言ではない程に、アイビー・ルックを象徴するアイテムです。
B.D.シャツのルーツはスポーツ・シーンにあります。
競技中、襟が風ではためくとプレイに差し障りますから、ボタンで留めたのです。
そうした背景が、アクティブなアイビー・リーガーの琴線に触れたのでしょうね。

〇SERO(セロ)

アイビー・リーグの一角を担うイェール大学の近くでセロは創業しました。
まずはイェールの学生らがこれを着て、評判が評判を呼ぶ形でアイビー・リーグ全体へと浸透していきました。

襟の裏にあるネクタイのズレ留めと、ヨークのハンガー・ループが正統派であることを示します。

〇H by FIGER(エイチバイフィガー)

B.D.シャツの話題となると、取沙汰されるのは50年代のブルックス・ブラザーズのものです。
B.D.シャツは50年代で完成を迎え、後年になって、様々なブランドがブルックス・ブラザーズの後に続きました。
エイチ・バイ・フィガーもそうです。
ただし、あくまで日本人の体型に合わせたプロダクトです。
日本人がブルックス・ブラザーズのシャツを着たとしても、当時のアイビー・リーガーのようには見せられません。
日本人にとっての、かのブランドが必要なのです。

もちろん6つボタンです。
第1ボタンを開けた時に襟が綺麗に見えるように緻密な調整がなされています。

ブレザー

こちらも必須級のアイテムですね。
当時のアメリカでは、3つボタンのブレザーから2つボタンのものに流行が移りつつあったそうで。
しかし、お坊ちゃまの集いであるアイビー・リーグと言えど、ブレザーを気軽に新調することは難しかったようです。
仕方なしに、3つボタンのジャケットの2つ目のボタンのみを留めることで、なんちゃって2つボタンのブレザーを羽織った彼らのスタイルは、今日では伝統的なものとして親しまれています。
そんなわけで、アイビー的にブレザーを着こなすなら3つボタン段返りのものを選びましょう。

〇Gambert(ギャンバート)

Ⅰ型と言われるブレザーです。
こちらもブルックス・ブラザーズにルーツがあります。
肩には芯がなく、ウエストにシェイプのないボックス・シルエットですので、リラックスした雰囲気です。
軽やかな生地感で夏にもご着用いただけます。
正に正統派の1枚。

〇H by FIGER(エイチバイフィガー)

またも登場のエイチ・バイ・フィガー。
ブレザーにも抜かりはありません。
ギャンバートと比べると構築的なシルエットで、よりかしこまった印象を与えます。
コットン100%の生地が季節感を醸しますが、通年でご着用いただける程の厚みです。
着回しを考慮するならこちらに分があります。

B.D.U.ジャケット

アイビー・リーグが設立されたのは1954年。
戦後からしばらくのことです。
そのころになると、制服としての要素を強く示していた軍服もカジュアルなシーンで親しまれるようになりました。
大戦を直接経験していない若者だからこそ、普段着として軍服を用いたのではないでしょうか。

〇PROPPER(プロッパー)

今となっては珍しい、コットン100%のB.D.U.ジャケット。
着心地はもちろん、経年変化にも期待できます。
アイビー・ルックに限らず、様々なコーデに馴染む器用さが売りです。

チノパンツ

アメリカの価値観には合理主義への信仰が窺えます。
ブレザーのウエストがシェイプされないのは大柄な人で着れるように。
チノパンがもてはやされたのは、プレスして穿けばかしこまった場で、洗いざらしで穿けばカジュアルな場で馴染む2ウェイのパンツだからです。
ウールのスラックスではこうはいきません。
正に合理的なパンツなのです。

〇BARNSTORMER(バーンストーマー)

日本人が穿くなら、バーンストーマーで間違いはありません。
仕立て屋のノウハウでもって仕上げたチノパンは綺麗なシルエットを描き出します。
プレスしてご着用いただければ、それは殊更のものとなります。
もちろん、洗いざらしでも野暮ったさの出ない優秀なパンツです。

〇BILLS KHAKI (ビルズカーキ)

バーンストーマーは日本人のアイビー・ルックに向けたプロダクトですが、ビルズ・カーキはアメリカの空気感をそのままに日本に伝えます。
洗いざらしで穿けば、正しくアイビー・リーガーの着こなしです。
「110%の製品保証」を謳い、アメリカはフィラデルフィアの自社工場で高品質のチノパンを世界に送り出しています。

ピケパンツ

ピケ素材のパンツを初めて打ち出したのはリーバイスです。
アイビー・リーガーをターゲットにデビューしたピケパンツは、思惑通り、彼らの間で好んで履かれました。
チノパンよりも明るい色味のパンツを穿きたくなった時、彼らはピケパンツをワードローブから引っ張り出したのです。

〇F.O.B FACTORY(エフオービー ファクトリー)

エフ・オー・ビー・ファクトリーは繊維の町として有名な児島のブランドです。
嫌味のない細身のシルエットで、ブレザーとの相性も抜群の1本。
アイボリーの色味が、コーデをワントーン明るく照らします。

ローファー

アイビー・リーガーを足元から支えたのがローファーであることに疑いの余地はありません。
エリートとしての期待と、上流としての自負を背負いアイビー・リーガーは、通学においても革靴を履きました。
その中で、容易な着脱も可能でありながらシックでありたいという彼らの要望に応えてみせたのがローファーです。

〇G.H.BASS(ジーエイチ・バス)

ローファーの元祖については諸説ありますが、初めてローファーを大衆に知らしめたのは間違いなくジー・エイチ・バスです。
アイビー・リーガーを取り上げたスナップでは、しきりにこのシューズが登場します。
ケネディ大統領もプライベートではこれを度々履きました。
手入れの要らないガラス・レザーをアッパーに配し、屈曲性の高いマッケイ製法で仕上げられています。
実用的な1足はアイビー・リーグで重用され、今ではアイビー・ルックの要として存在感を放ちます。

デッキシューズ

アイビー・ルックは東海岸のカルチャーです。
ヨット・レースの盛んに行われた東海岸でデッキシューズが隆盛したのは当然と言えますし、それがアイビー・ルックに取り入れられたのも、やはり当然と言えます。

〇SPERRY TOP SIDER(スペリートップサイダー)

デッキシューズはトップサイダーに端を発します。
ソールに切り込みを入れるというアイデアは革新的なものでした。
以降、多くのブランドがトップサイダーを模倣しましたが、やはり、原点を押さえておきたいのが男の性(さが)。
特徴的なそのソールはスペリー・トップサイダーの創業者の名前を冠して「スペリーソール」と呼ばれます。

ネクタイ

アイビー・ルックにおけるネクタイと言えば、第一にレジメンタル柄が挙げられます。
レジメンタルには何らかの所属を示す意味合いが含まれています。
そもそも、「レジメンタル(regimental)」が「軍服、連隊の」という意味を持ちます。
ネクタイの色や柄で、どこの連隊に所属しているのかが一目に分かるようになっていたのです。
それがアイビー・リーグにも伝播しています。
各大学で、指定のネクタイの色味や柄が厳格に定義されていたのです。

〇BENTLEY CRAVATS(ベントレークラヴァッツ)

ラルフ・ローレンの前身はブルックス・ブラザーズのネクタイ部門です。
後世に轟く輝かしいキャリアの第一歩をネクタイ屋として踏みしめたラルフ・ローレンですが、その生産を担ったのがベントレー・クラヴァッツです。
このブランドのハンドメイドのシルクタイが、かのラルフ・ローレンの礎になったと思うと、男心をくすぐられます。

〇MOONCASTLE(ムーンキャッスル)

アイビー・ルックを代表するネクタイがレジメンタル柄であることに疑いはないですが、ニットタイも好んで用いられたことに間違いはありません。
ニットタイならではの適度に肩の力の抜けた雰囲気が、Ⅰ型のゆったりとしたブレザーと馴染みます。
ムーンキャッスルのニットタイはシルク製ながら、良心的な価格。
ファクトリー・ブランドだからこそ出来ることです。

コーディネイト

ご紹介したアイテムでコーディネートを組んでみました。
ぜひご覧ください。

●ジャケット Gambert(ギャンバート) サイズ:36 ¥39,600‐
●シャツ SERO(セロ) サイズ:14 ¥13,200‐
●パンツ BARNSTORMER(バーンストーマー)  サイズ:XS ¥19,580‐
●シューズ G.H.BASS(ジーエイチ・バス) サイズ:US8 ¥28,600‐
●ネクタイ MOONCASTLE(ムーンキャッスル) ¥7,700‐
モデル 身長168cm 体重56kg 足のサイズ約25.5cm

収まりの良いコーデを組んでみました。
スッキリとしたシルエットのバーンストーマーのチノパンに、襟の小ぶりなセロのシャツ。
ギャンバートのブレザーはボックス・シルエットで比較的ゆったりとしたフィッティングで、かしこまり過ぎないのが合わせやすいポイントですね。
これだけでは華のない雰囲気なので、赤色のニットタイで華やかかつ、アクティブな印象を。
足元はもちろんジー・エイチ・バスのローファーです。

●ジャケット H by FIGER(エイチバイフィガー) サイズ:M ¥53,900‐
●シャツ H by FIGER(エイチバイフィガー) サイズ:M ¥10,780‐
●パンツ BILLS KHAKI (ビルズカーキ)  サイズ:28 ¥24,200‐
●シューズ G.H.BASS(ジーエイチ・バス) サイズ:US8 ¥28,600‐
●ネクタイ BENTLEY CRAVATS(ベントレークラヴァッツ) ¥11,880‐
モデル 身長168cm 体重56kg 足のサイズ約25.5cm

先のコーデよりもコッテリとした味つけです。
コッテリの中核を担うのはビルズ・カーキのチノパンですね。
このボリューム感、いかにもアイビーといった風情が宿ります。
普段着としてアイビー・ルックに身を包んだアイビー・リーガーですから、ある種のルーズさも求められたのでしょうね。
パンツの存在感に負けないように、襟の大きなエイチ・バイ・フィガーのシャツと、同ブランドのブレザーを。
ネクタイもレジメンタル柄のものを選んでみました。

●ジャケット PROPPER(プロッパー) サイズ:S/S ¥9,900‐
●シャツ Champion(チャンピオン) サイズ:M ¥11,000‐
●パンツ F.O.B FACTORY(エフオービー ファクトリー)  サイズ:W30 ¥15,400‐
●シューズ SPERRY TOP SIDER(スペリートップサイダー) サイズ:US8 ¥8,800‐
モデル 身長168cm 体重56kg 足のサイズ約25.5cm

打って変わって、カジュアルな装いです。
流石に、年中ブレザーを羽織った筋金入りのアイビー・リーガーは一握りでしょう。
彼らも、これくらい気の抜けたコーデで出掛けたはずです。
初夏の頃には、このコーデが旬となりますね。
ピケパンツの爽やかな色味が夏を想起させます。
余談ですが、岡安さんの私物のB.D.U.ジャケットを強奪して撮影に臨みました。
適度に色の抜けたジャケットの色味が、ホワイトとネイビーを主軸としたコーデのアクセントです。

さて、冒頭で、アイビー的なアイテムは確立されていると申しましたが、アイビー・ルックの真骨頂は懐の深さにあります。
アイビー・ルックは「アイビー的なアイテムを着る」のではなく、「アイビー的でないアイテムを着ない」スタイルなのです。

裏を返せば、少しでもアイビー的な要素を含むアイテムであれば、それはアイビー・ルックの要素として立派に機能するということです。
セント・ジェームスもアイビー的と言えますし、リゾルトもアイビー的です。
ZABOUの全てのアイテムはアイビー・ルックという土壌で花を咲かせてくれます。
どうぞ、確立されたアイテムだけでなく、様々なアイテムでアイビー・ルックをお楽しみください。

撮影の裏側。ビルズ・カーキは生地が柔らかいので、捲るのも一苦労です。

それでは店頭でお待ちしております。
ありがとうございました!

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小坂

東京店スタッフの小坂です。
168cm 54kg、体型の近い方はサイズ感についてのお問い合わせもぜひ。
店頭でお待ちしております!