こんにちは。
東京店スタッフの小坂です。
いやはや、凄まじいジャパンカップでしたね。
中3週など、不安要素がないではないイクイノックスでしたが、蓋を開けてみれば完勝劇。
疑う余地なく世界最強です。
そんな訳で、宣言通りタイトルホルダーと一蓮托生の身であった小坂は予定調和の憤死を迎えました。
でも良いんです。
勝つ馬の馬券を買うより、好きな馬の馬券を買って散った方が気分が良いですから。
勝つ馬が好きな馬なら苦労はないんですがね。
その辺り、服選びとよく似ているような気がしますね。
似合う服を買うより、好きな服を買った方が気分が良いです。
似合う服が好きな服なら言うことナシな点も。
こと小坂については、タートルネックのセーターが好きなのですが、致命的に似合わないのが悩みです。
知的な雰囲気が感じられる上に季節感も演出できますから、シーズン毎に欲しくなるのですが、どうにも似合わない。
なんて考えておりましたが、今季ご用意しております2つのブランドのタートルネックは、僕が着ても中々悪くない仕上がりでした。
「買ってみようかな」ムードが刺激されたので、その2つを比較して、どちらが僕にとってより良いものであるかを考えてみようと思います。
そもそも、全く同じようなものでしたら、わざわざ2つも仕入れないわけです。
そこには明確な違いがあり、個性があります。
今回はそんなお話をさせていただきます。
どうぞお付き合いください。
今回比較するのはRinascente(リナシェンテ)とMOONCASTLE(ムーンキャッスル)のものです。
どちらも日本のブランドであり、日本人の体型に合わせたモノ作りをしてくれています。
僕でも着られるような仕上がりとなっているのは、そのお陰でしょう。
では、具体的にどのようにして日本人の体型にフィックスさせているのか。
ネックが短めに仕上げられているのです。
欧州の方と比べて顔が大きく、首の短い日本人は、欧州のブランドのタートルネックがあまり似合いません。
御多分に洩れず、顔が大きく、首が短い僕は、インポートのタートルネックが似合いません。
それ故に苦手意識があったのですが、両ブランドのものなら雰囲気良く着ることができました。
因みに、シルエットも似通っています。
各採寸値は殆ど同一の値を示していますし、フィッティングも以下の通りです。
「日本人に合わせたモノ作り」というコンセプトが共通する以上、シルエットが似るのは必然と言えるでしょう。
では一体何が違うのか。
ここからがこのブログの本題ですね。
ご安心ください。
しっかりご説明させていただきます。
ずばり、生地が違います。
上の画像で十分にご理解いただけることと思いますが、ドレープの雰囲気が全く異なりますよね。
当然、これは生地の違いによるものです。
こと両ブランドを比較するにあたっては、糸の種類と編み方がポイントとなります。
一つずつ見ていきましょう。
まずは糸の種類について。
MOONCASTLEのものはエクストラファインメリノウールを原料とする糸を採用しています。
エクストラファインメリノウールとは、ウールの中で最も高級とされるメリノウールの中でも等級の高いものを指します。
ウールは繊維の細さによって等級が分けられ、等級が高いものほど希少で価値あるものとされます。
メリノウールが24μm(0.024mm)であるのに対し、エクストラファインメリノウールは19.5μm(0.0195mm)という圧倒的な細さを誇ります。
一般的なウールが25~40μm(0.025~0.040mm)であることを踏まえると、ますますその細さが際立ちますね。
対するRinascenteのものはキャッシュウールを原料とする糸を採用しています。
キャッシュウールとは、イタリアの老舗紡績会社、ゼニア・バルファ社が手掛ける最高級のウールです。
上述のエクストラファインメリノウールに特殊な加工を施し、カシミヤのような柔らかみと光沢をもたせています。
この加工の過程で防縮性を備え、また、毛玉ができづらくなります。
ウールとしては名実共に世界最高級の糸なのです。
続いては編み方について。
Rinascenteのものはホールガーメント製法が採用されていますね。
ホールガーメントとは、縫い合わせずにセーターを編み上げる製法のことを指します。
縫い目がないので見た目に美しい他、セーターのあらゆる箇所が伸縮性のあるニット生地であるため、身体を包むようなフィッティングを体感できます。
ホールガーメント製法は1995年に日本で生み出された技術ですが、現在ではハイブランドもこぞってこの製法を採り入れます。
一方のMOONCASTLEのものは三本取りで編み立てられています。
通常、ニットを編む際は1本のみの糸を用います(「一本取り」なんて言います)。
これに対し、MOONCASTLEでは三本取りを採用していますから、通常の3倍の糸を用いているというわけです。
必然的に、生地は厚く、重く、目の詰まった生地となります。
防風性、防寒性に優れる他、毛玉ができにくいという利点があります。
大まかには、以上のような違いが見られます。
糸と製法の質で勝り、柔らかく軽やかな着心地のRinascente。
用いる糸の量に起因する温かさとコスパの良さで勝り、ヘビーで頼もしい着心地のMOONCASTLE。
といったところでしょうか。
皆様のお好みはどちらでしたでしょうか。
僕の好みは……
それでは店頭でお待ちしております。
ありがとうございました。