週刊ZABOU「日米綿合戦/最強ダウン、比べてみた。」


ダウンウェア…中綿入りの衣類の一種。主に生後間もないアヒルの羽毛をアウターの中に入れ込むことにより、軽量ながら保温性が高まる。
1936年にアウトドアブランド「エディバウアー」が開発して以来、極寒の地域で活動する人のために、今日でも生産され続けている。言わば、正真正銘の防寒着なのである。

ZABOUでは今季、日米2社のダウンウェアを大幅に展開。
一つは長年取り扱う「Cerescent Down Works」。
もう一つは日本初のダウン製造メーカー「ZANTER」である。
どちらもその道のエキスパート。
今回はその2社のアイテムを取り扱うにあたって、その理由と優れた機能について一つずつフォーカスしていきたいと思う。

Crescent Down Works(クレセントダウンワークス)

1974年、アメリカのシアトルにて創業したダウン専門のブランド、クレセントダウンワークス。中綿にフェザーを混ぜずダウン100%で作り上げられるアイテムは、極めて厳しい状況でも温かさを保証する、大変高品質なダウンウェアを今尚アメリカ製で作り続ける。
先程挙げたエディバウアーの系譜を継ぐ、アメリカを代表するメーカーであることをまず知っていただきたい。

Classico Parka (クラシコパーカー )

Crescent Down Works(クレセントダウンワークス) クラシコパーカー  ¥95,700-

クレセントの創始者であるアン・マイケルソン氏は、エディバウアーにて修業期間を経たあと、1974年にダウンウェアのカスタムサービスをスタートする。これが後にクレセントダウンワークスという訳であるが、
近年アメリカ製のダウンウェアは、資材の価格高騰により衰退を辿ることになるが、クレセントではアメリカ製に拘り、今日に至る。
しかも使われる中綿は、フェザーを含まないダウン100%ときた。保温性もさることながら、とても軽く仕上がっており、ストレスなく着用できる。

このクラシコパーカーはラインナップの中でも特にクラシックなディテールで、本格的なアウトドアからタウンユースまで存分に楽しめる、服好きには堪らない逸品となっている。

表地はシエラデザインが開発した綿60%ナイロン40%混紡の通称ロクヨンクロス。
雨や雪は弾きつつも、湿気が内側に溜まらないクラシックアウトドアではお馴染みの素材。
経年変化も楽しみな表地となっている。

内側はストリークフリーナイロン。肌触りは滑らかで、キュプラのようにインナーの滑りも良くなっている。

アウターとインナーの色合わせが特に70年代を思わせる配色で、コーディネートはデニムパンツやチノパンなど、アメリカンカジュアルとの相性も抜群に良い。

●アウター Crescent Down Works(クレセントダウンワークス)  サイズ:M  ¥95,700-
●インナー Jackman(ジャックマン)  サイズ:XL  ¥15,400-
●パンツ N.O.UN(ナウン)  サイズ:36  ¥19,580-
●シューズ BLUNDSTONE(ブランドストーン) サイズ:UK7  ¥27,500-
モデル 身長175㎝ 体重65㎏ 足のサイズ約26.5㎝

グースダウンがパンパンに詰まったこちらのダウンジャケット。
とてもクラシックで、70’sの匂いがプンプンしますね。
着丈もそこそこに、太めのデニムと合わせるこってりしたコーディネートもおすすめです。

寒くなったら閉めて着るフーディーは着こなしによって着脱が可能。
ここを開けたり閉めたりすることによって見た目に変化もつけられます。
発色の良い今の状態も好きですが、これから先何十年先も着られるくらいタフな作り。
経年変化も楽しめる方が良い。アメリカを代表する質実剛健なダウンを是非。

NBNW(ノースバイノースウェスト)ベスト

Crescent Down Works(クレセントダウンワークス)NBNWベスト  ¥46,200-

表地、裏地共にストリークフリーナイロンを使用しており、これ以上ないくらい軽量に仕上げたのが、こちらのNBNW(ノースバイ・ノースウェスト)
元々はダウンウェアのインナーに着る事を想定している分、着丈の短い独特のカッティングをしている訳であるが、それが返ってスタイリッシュな見た目を生む。
ファッション的観点で作られたわけではないが、結果的にファッションとしてスタイリッシュになるという稀に見るケースである。

首に直に触れる部分もこの肌触りの良いナイロンが、一層気分を上げてくれる。
また、スタンドカラーなのでフードは付かないが、風の侵入をある程度さえぎってくれるので、一番上まで留めるととても温かい。

スリットがある分、下に着るセーターやスウェット、シャツなどの長さを選ぶことなく、
またこの上から羽織るオーバーパーカーなどのスタイリングにも一役買ってくれる。

●アウター Barbour(バブアー)  サイズ:34  ¥53,900-
●ベスト Crescent Down Works(クレセントダウンワークス)  サイズ:S  ¥46,200-
●セーター 私物
●パンツ BARNSTORMER(バーンストーマー)  サイズ:M  ¥16,280-
●シューズ 私物
モデル 身長160㎝ 体重60㎏ 足のサイズ約25㎝

ZANTER(ザンター)

1951年日本がまだ戦後まもなく占領下にあった頃。復興の歴史を刻み始めるのと時を同じくして、国内で最初のダウンウェアメーカーとして誕生。ブランド名のザンターは「山を登る人」をイメージして名づけられました。
日本のダウンウェアのパイオニアです。

1956年には第1次南極観測隊の羽毛装備を担当、現在に至るまで、極地での観測活動を支援。1973年、東洋羽毛工業株式会社よりウェアグッズ部門を分離独立し、「株式会社ザンター」として会社設立。

1978年、日本人初のエベレスト登頂を果たした植村 直己の羽毛装備を担当した。

New Down Parka JP

ZANTER(ザンター) New Down Parka JP  ¥110,000-

ZANTERのウェアの中では極寒の地での使用を想定した、南極観測隊モデル。
その名の通り、実際に供給されている仕様で極寒の南極-60℃までの仕様を想定しているので、いくら寒い地域においても活躍すること間違いなしです。

特に目を惹くレッドカラー。
一面雪の地でも発見がしやすくなっている利点があります。こういった一目で分かるギアとしての洋服には魅力を感じませんか?
そしてZANTERのダウンの温かさの秘密はダウンボールにあります。

市販されているダックダウンのウェアの多くは食肉用に飼育された中ヒナ(生後45日前後)の羽毛が使用されています。なぜなら中ヒナは肉質が柔らかく美味しいので、食用に最適であり、羽毛はその副産物だからです。

しかし、その羽毛は発育途中である場合が多いのです。ザンターが主に使用している羽毛は、現地農家が田植え後にヒナ鳥を田んぼに放し、雑草や害虫を食べさせ、成鳥になるまで広大な田んぼの中を自由に動き回らせる自然飼育の環境下で、のびのびと大きく育った生後90日以上のダックから採取しています。

つまり、ザンターが使用している主なダウンは、羽枝が密生し、ダウンボールが大きいため、型崩れが少なく、空気をたくさん取り込むことができる、保温性・反発性・耐久性に優れた羽毛なのです。

一際目を惹くレッドのダウンは、ギアとしては申し分ないですが、街でも存在感は抜群です。
他のアウターなら少し気が引けるかの知れませんが、ダウンジャケットが完全に市民権を得た今では、逆に特別感があって新鮮に映るかもしれません。

denimとの相性は間違いなく、何とも形容しがたいこの赤は意外にも街に馴染むことが分かりました。

Down Parka WP

ZANTER(ザンター) Down Parka WP  ¥80,300-

サイズバランスを日本人に落とし込みながら、
カラコルムジャケットを彷彿とさせるような練ボタンや、マチ付きのスクエアポケットなど、見た目はクラシック。
取り外しができるフードやマガジンポケットなど、冷気を完全にシャットアウトする2重構造など、きちんと山に入る人の事を考えている分、バランスがとても良いです。
COLOR展開もあまり近代的になり過ぎず、大人が綺麗に着られる配色ばかりですね。

●アウター ZANTER(ザンター)  サイズ:S  ¥80,300-
●インナー Rinascente(リナシェンテ)  サイズ:46  ¥16,280-
●パンツ RESOLUTE(リゾルト)  サイズ:31×28  ¥24,200-
●シューズ SANDERS(サンダース)  サイズ:UK6  ¥47,300-
モデル 身長160㎝ 体重60㎏ 足のサイズ約25㎝ 

ここまで形の綺麗なダウンは、正直初めて見ました。
基本的にダウンのインナーは着こまない方が温かい。すると自然とインナーはハイゲージニットやカットソー、スウェットとなってくるのです。
Down Parka WPは十分過ぎる程、保温性があるので、厚着せずインナーを薄手にすることによってとても綺麗な見え方をしてくれます。

アームが細くお尻が隠れるミドル丈のダウンコートなので、パンツは必然的にRESOLUTEなどの細身のものがよく合います。
ジャストフィットで綺麗に着られてしっかり防寒してくれる。これで真冬のアウターは困らなさそうです。

ステッチワークやボタン一つ取ってもとても丁寧に作られていることが分かり、そうそう買い替えるものではないので、折角ならとお考えの方には是非オススメさせて頂きたい一着です。

Down Vest

ZANTER(ザンター) Down Vest ブラック  ¥36,300-

これ以上ないほどシンプルなZANTERのダウンベスト。
先程のダウンパーカーから派生させたZANTERのダウンベストは、保温性の高さはそのまま、着る時期が長い分、活躍すること間違いなしである。
アウター二型に比主張が少ないものの、匿名性が高くてクオリティも申し分ない。コーディネートの邪魔になることなく様々な着こなしに対応可能。

●ベスト ZANTER(ザンター)  サイズ:L  ¥36,300-
●パーカー Camber Ⅱ(キャンバー・ツー)  サイズ:L  ¥11,000-
●パンツ 私物
●シューズ 私物

どんな服装にも間違いなく馴染むこちらのベスト。
スウェットパーカーにワイドチノ。ワークブーツといった90’sの少し野暮ったい服装にも、
品の良さと馴染みの両方を与えてくれます。

やはりパターンの良さはジャパンブランドならでは。
肩の収まりや着丈のバランスなど、どこを取っても綺麗です。


日米綿合戦、如何でしたでしょうか?
真冬を相手にするヘビーなダウンウェアは、アウトドア物が良いに決まっています。
本当に寒い季節はすぐそこ。一着持っていればこれ以上に心強いことはありません。
10年単位で付き合っていけるダウンウェアを、是非一度お試しください。

この記事を書いた人