毎年夏場は白Tにジーンズ。
それでいいと思っていたが、30代も近づき、
少し畏まっていて、尚且つ色気がある洋服に惹かれてしまう。
カジュアルにも着れて、余所行きにも恥ずかしくないトップスを探していると
行きついたのはコットンニットだった。
そんな時に突然の訪問。
聞けば大阪府南部でニット業を営む、自分と同じ年の青年だった。
自然豊かな漁師町「岬町」。
ここが大阪ということを忘れてしまうくらいにのどかな風景。
淡輪海水浴場や、みさき公園(現在は閉園中)など、南大阪でも都会の喧騒を離れて、潮風を感じながら、落ち着くことのできる町だ。
そんな港町で、ニットを作り続ける工場がある。
月城ニット株式会社
ミセスを中心に60年以上この町でニットを生産し続ける老舗の工場だ。
そのニット工場の三代目が月城亮一さんである。
創業以来、初のメンズブランドが「MOON CASTLE」。
自身の名前を冠したブランドを2020年に立ち上げる。
「家業を継ぐにあたって、自分自身で着ることが出来るニットを作りたい」という想いからメンズのニットを製作。
ファクトリーブランドの良さを生かした、高品質で低価格なニットを、この港町から全国へお届けする。
月城氏「ニット一筋のブランドだからこそ、拘りぬいたディテール、素材、丁寧な縫製が、他のブランドと違います。また、ファクトリー自ら手掛けているブランドなので、コストパフォーマンスも良いです。」
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ますます商品が気になり、
実際にどのようにして商品が作られるのか、生産背景を知るべくして形が見えてくると思い、この地に足を運んだ。
ー企画ー
そんな喉かな町で、MOON CASTLEの製品は企画や生産を経て、ゆっくりと出来上がる。
MOON CASTLEの商品企画は少し変わっている。
月城氏「まずは素材となる糸の選定。何百、何千種類とある糸の中から、糸を選び抜き、それをデザインに落とし込む。 デザインを先に決めてから、素材を選ぶ 一般のアパレルブランドとは違うアプローチで商品企画をしています。」
今はこの春夏展開のアイスコットンを使用したニットを製作中。
※アイスコットン‐‐‐スイス発の綿素材。
糸に特殊な強撚糸加工を施し、可能な限り毛羽を立たせないことによって、リネンのような質感に生まれ変わるアイスコットンは、接触冷感によって夏場も快適に着用できる。
ー織り(編み)ー
ニットは編み物。関西では何故か織りというらしい。
パーツごとにコンピューターで入力し、編み機で編んでいく。
とても近代的に思えるが、機械自体は何十年も前から導入されている。
パーツごとに編み機から出されていく。これから、その一つ一つをつなぎ合わせていく。
ー洗いー
ものによっては洗濯機、乾燥機を使って、パーツごとに洗いをかけていく。
”繊維の王様カシミヤ”も、編み機から出てきた時点ではとても硬く、洗いで風合いが決まると言っても過言ではない。
ここである程度の縮みが抑えられ、洗濯などでサイズ感が変わることを防ぐという。
ー仮プレスー
今度はパーツごとに出てきたニットを一度プレス機に通し、これからの作業をやりやすくしていく。
ーリンキングー
肌に直接当たる襟元などは”リンキング”という、編み合わせる技法によってストレスなく着用できるといった具合だ。
ハイゲージになれば、なるほど難しく、技術が要するのもリンキングが難しいところ。
こういう一手間が極上の着心地を生み出してくれる。
ーミシンー
ミシン部分も極力縫い代が少なく、快適な肌当りになるよう工夫されている。
ープレスー
普段は社長が自らプレスを行う。
「ニットは伸びが生じますが、ここで細かなサイズを調整し、蒸気でプレスを行うことによって、サイズを決めてしまいます。」
「そうして出来上がったニットを検品、梱包し、お客様へとお届けします。」
【月城さんコメント】
「コロナ禍においてリモートワークが広がり、オフィスカジュアル化が進む中で、メンズのサマーニットはオススメです。」
「以前まで夏場はカッターシャツオンリーでしたが、現在は仕事着が多様化しています。Tシャツはカジュアルすぎるし、何を着ていっていいか分からないという方にこそ、是非一度着てほしいです。お洗濯も簡単で、上品に見え、なおかつ涼しいです。」
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日本製に拘り、モノづくりを続けてきたニットメーカーの作る紳士用ニット。
この夏、新たなラインナップとして加わることとなる。
近年のクールビズやオフィスカジュアル。テレワークによって人々の生活様式は目まぐるしく変わっていくが、
快適で丈夫でサマになる洋服は、今も昔も変わらない。
”普遍的でカッコ良い”と同時に、時代の流れに合わせた洋服はこれから新たな定番となり得るだろう。
きっと手にして、一度袖を通すだけで、物の良さというのはお分り頂けるだろう。
最後に、展開予定商品(一部は入荷済み)を少しだけ公開。
ICE COTTON POLONECK
ビジネスやフォーマルな場を想定した商品企画をおこない 、作られたニットポロ。
程良い厚みながら、着用感は至って涼しい。主張しすぎないボタンも大人な顔つき。
ICE COTTON CREWNECK (5月中頃デリバリー)
Tシャツよりもフォーマルに。カジュアルにもビジネスにも対応な大人の丸首ニット。
実際に自分でも真夏で着たいな、と思いこちらも展開予定。
後日、着用感なども交えお話しできたらなと。
SILK KNIT TIE
シルク100のニットタイ。実は国産で作られる工場は片手で数えられる程。
加えて国産でこの価格は、まずここだけだろう。
ZABOUでは3色展開。ブラウン・ネイビーは間違いなし。差し色でワインレッドなんかも。
ちょっとした贈り物にも、こういう時代だからこそ、カジュアルにもネクタイを。
ニットタイは丁度使いやすい。
MOON CASTLEのニットはまだまだ始まったばかり。
これからもラインナップは増えていく予定ではあるが、まずは来るべき夏を乗り越えるための
トップスの候補に加えてみては如何だろう。