洋服解剖学 No.2 BARNSTORMER(バーンストーマー)

どうも、濵地です。
先日、こちらの企画を初めて書かせていただきましたが、読んでくださった皆様ありがとうございます。
洋服の内側のこととなるとあまり変なことは書けませんので、いつも以上に慎重になりました。
どうでしたか?大丈夫でしたか?変なこと書いてなかったですか?
とりあえず、今後もあんな感じでお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。m(__)m

さて、第2回はバーンストーマーについてです。
バーンストーマーというブランド、実は既製服を作っているブランドのなかではかなり稀有な存在です。
その辺を今回は深堀りしたいと思います。モデルは1002P、ツータックドレスチノパンツです。

BARNSTORMER(バーンストーマー) ツータックドレスチノパンツ カーキ ¥19,580-

まずはこちらのディテールからです。
①「股と腰には三角マチが付きます。これは仕立て屋が幅合わせのために行うひと手間です。」
②「内股の縫い代は前が1cm、後ろが2cmと左右対称。これは人間の体の構造上、個体差は後ろに出てくる為のディテール。」

ZABOUのウェブショップでの商品紹介ではこのように書かせていただいております。
これについてもう少し詳しく解説したいと思います。

これらのポイントはバーンストーマーが仕立て屋の技術を取り入れているからこそなのですが、実はスラックスあるいはスーツというのはもともと体型に合わせてサイズ調整できるようになっているのです。

パンツ後ろ内側

内側の縫い代を見てみますと、ヒップからウエストにかけて少し多めに縫い代が確保されています。
ここをほどいて調整することによって多少のサイズ調整が出来るというわけです。
内股縫い代も同じです。縫い代が後ろの方が多めにとられているのは、太腿やふくらはぎなど、脂肪や筋肉の影響が出てくるのが体の前側ではなく後ろ側だからです。
また、これらを調整する際に、調整し終わった後もビタっと幅が合うようにするために三角マチが取られているのです。
実際に既製服のパンツを細かくサイズ調整する方は少ないかもしれませんが、服好きとしてこんなディテールが盛り込まれているということだけでもニヤニヤしてしまいますね♪(´▽`)

そしてこちら。
商品に付属しているタグに書かれている内容。

「脇のふくらみをフロントに逃がしてセンターにS字のカーブを作り出す。」
「バックセンターにもカーブを描く。」
これは通常既製服では見られないディテールです。

パンツと言うのは前身頃と後身頃を合わせて作った2本の筒を股ぐりを縫い合わせて作ります。
作り自体は単純で、パターンも基本的にはヒップより下は直線的に引けばいいのですが、単純故に余計な切り替えなどは入れられないため、人体の腰回りの複雑な曲線というのをどうにかして表現しなければなりません。
この点においてパタンナーの腕というのがみられるわけですが、バーンストーマーはパターン技術だけでなく、仕立て屋の技術が加わることで通常既製服ではやらないことをやっています。

アイロンワークのひとつに「くせ取り」というものがあります。
これは高級なテーラードアイテムなどに見られるテクニックで、名前こそくせ取りと言っておりますが、やっていることはくせ付けです。
服のパーツを縫い合わせる前に生地の熱可塑性を利用し、予めくせを付けておくことです。
これを行うことで、切り替えが無い部分にも立体感を生み出すことが出来ます。

バーンストーマーのパンツは、予めのくせ取りだけでなく、縫製途中、縫製後など各工程ごとにアイロンワークが行われています。
また、今回取り扱っているツータックドレスチノパンツのようなコットン地というのは、スーツなどのウール地と比べてアイロンでのくせ付けが難しいのです。
それでもこのバーンストーマーというブランド、これをやってしまうのです。もはや、仕立て屋顔負けですね。

もちろん、こういった拘りのおかげでシルエットや履き心地が良くなっているわけなのですが、とはいえ正直なところ、この差があるか無いかで劇的に着心地が変わるとかではないと思います。
そもそも既製服はこんなことやっていないのでね。
ただ、たった1本のパンツに目には見えないたくさんの要素が詰め込まれているというところにロマンを感じますし、それを着ているということを誇らしく思います。
服好き、もとい服バカにはきっと気に入っていただけるブランドです。
ZABOUでは今回ご紹介したモデル以外にも多数取り扱っておりますので、まだお持ちでない方、ぜひ一度お試しください。
きっとハマりますよ^^

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濵地

ZABOU初の愛知県出身スタッフです。

皆様に満足していただけますよう努めてまいります。