洋服解剖学 No.1 RESOLUTE(リゾルト)

どうも、濵地です。

先日、ブログにて私物のリゾルトのご紹介をさせていただきましたが、今回はまた違った視点で。

その名も「洋服解剖学」です!

。。。まぁ、解剖学なんて言うと大袈裟ですが^^;

自己紹介ブログでも書いた通り、私濵地、服飾の専門学校に通っておりました。
ですので、服のパターンやデザインなどについては少しだけ学んできました。
とはいえ、パタンナーとしての実務経験もありませんし、夜間に通学していたので、限られた時間の中で身に着けたスキルの中でのお話となってしまいます。
そこで、あまり専門的な内容というよりは、それぞれのブランドの洋服に秘められた拘りなんかを見つけ、それを深堀りしていくようなスタイルでお送りしたいと思います。
もしこのブログをご覧になられている各種アパレル業界関係の皆さま、どうか暖かい目で見ていただけると幸いです。。。

それでは、早速本題に入りましょう。今回は710を取り扱います。
まずは、ポケットのディテールです。

ご覧のように、ポケットの袋布(内側の白っぽい布)にはスレキという生地が使われることが多いです。
これを単純に袋状に縫ってポケットにするわけですが、このスレキ、特にジーンズのようなガシガシ使われるワークパンツですと底が破れてしまったりするんですよね。
ですが、リゾルトはここにも拘りが詰まっております。内側をひっくり返してみましょう。

何やらオレンジ色のラインがみえますが、これは生地のです。
デニムにおいてはセルビッジと呼ばれることのが多いかもしれません。
「え?セルビッジってジーンズの裾を捲ったらでてくる、赤とかオレンジの線が入ってるアレでしょ?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ジーンズの裾を捲ったら出てくるセルビッジは確かにデザイン的な要素もあるのですが、実はこのセルビッジ(耳)は生地の中で最も強度の高い部分なのです。

生地というのは通常、ほつれたり伸びたりするのを防ぐために両端が強く織り込まれています。
生地屋さんに行って見ると分かるのですが、セルビッジデニム以外の生地なんかだと両端にぽつぽつと穴の開いている部分があり、これが生地の耳になります。
生地の端っこと聞くと一見するとほつれやすそうに聞こえるかもしれませんが、前述の通り、通常使われる生地の本体部分よりも強く織り込まれているので実は強度が高いのです。
つまり、負荷のかかりやすいポケットの袋布にはぴったりというわけなんですねぇ~。

ただ、ここで勘の良い方はこう思うかもしれません。「じゃあ全部の服のポケットを耳使ってつくればいいやん。」と。
ほんとその通りなのですが、残念ながら耳というのは生地の両端にしかありません。
ですので、耳をあえて使うというのは生産効率が悪いのです。

めちゃくちゃ分かりにくい図で申し訳ないです。。。
パターンが完成したらそのパターンに沿って生地を裁断しなければならないのですが、できるだけ生地の無駄が出ないようにする必要があります。
この生地にパターンを効率よく入れていく工程をマーキング(型入れ)といいます。
今はコンピューターで何でもできる時代なのでマーキング自体が難しいわけではないのですが、今回の場合のような耳をあえて使いたいとなると、耳のマーキングを優先させなければいけないので通常のマーキングより無駄が出てしまいます。
そうなると本来収まるだけの生地分量よりも多く生地を用意しなければいけなくなり、企業側からすればコスト面でも無駄が多くなってしまいますので、できれば避けたいところです。
つまり、ポケットに耳を使うというのはブランド側の並々ならぬこだわりという訳なんです。

ポケットのことだけでだいぶ長くなってしまいましたが、もう1ポイントだけいきましょう。

私がリゾルトのジーンズで一番好きなポイントはこのお尻周りのフィット感です。
よくフィットしてるでしょう?別に私がプリケツなわけではありませんよ。
これは職人たちが、リゾルトが日本人の体型に合うようにと考え抜いて作った結果の努力の賜物です。

ここからは若干私なりの考えが入ってしまいますが、何となくでもいいので読んでいただけると嬉しいです。

キングオブジーンズといえばリーバイスの501です。おそらくこれは皆様の認識もそうだと思います。
501は世界的なジーンズなので皆がいいと思っていますし、ありとあらゆるブランド、企業がこの501をサンプリングしています。
私が学校で聞いた話では、タグが違うだけで形やサイズををまんまサンプリングしてしまうこともあるそうです。

そんな皆がいいと思っている501ですが、日本人には少しヒップが大きかったりします。
上の写真は現行のレギュラーのリーバイス501です。
現行モデルということで昔のリーバイスと比べれば気にならない程度ですが、リゾルトと比べるとわずかにヒップの生地が出ていることがわかるでしょうか。
今の日本規格のリーバイスは日本人の体型に合わせて作られているはずですので比較的綺麗な形をしているかもしれませんが、古着屋で見かけるリーバイスですと海外企画のものがほとんどですし、そもそもがアメリカのブランドですので日本人に合わせた作りではありません。

それに、リーバイスのジーンズが作られたのはもう何年も前の話で、元々は作業着として作られました。
大昔、アメリカで、作業着として、大量生産された、となるとパターンに拘って作られているはずがありません。ですが、これをサンプリングしているブランドは多いです。
その証拠として、ヴィンテージやそれをサンプリングしているレプリカブランドのデニムなんかはお尻がもたつくことがありませんか?(サイズ選びや型番にもよりますが)

もちろんそれが良さでもあるのですが、

弊社ZABOUのミッション=『紳士をつくる』

ですので、野暮ったいぶかぶかのデニムよりはスマートなデニムの方がZABOUらしいとも言えます。
リゾルト710もリーバイス501の66モデルを参考には作られていますが、日本人の体型に合うように作られておりますので余計なもたつきなどなくとてもスマートな印象です。
デニムですので色落ちが醍醐味ではありますが、パターンを勉強していた私からすればぜひそのシルエットに注目していただきたいです。

と、長くはなってしまいましたが、今回はこれくらいにしたいと思います。
こんな感じで今後も他のブランドについても独自の視点で深堀りしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ご精読ありがとうございました。

PS:ちなみに今回タイトルに「解剖学」とつけたのは、私が大学時代医療系の学部を専攻していたからです。
実際に解剖実習見学という形でご献体を触らせていただいたこともあります。
顔から下がすべて解剖されており、腕なんかはトマホークのように持ててしまうくらいバラバラの状態でした。
そういった耐性の無い方からすれば恐ろしい話かもしれませんが、当時の私はめちゃくちゃ楽しんでいました。
その辺のお話も聞きたい方はぜひ^^

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濵地

ZABOU初の愛知県出身スタッフです。

皆様に満足していただけますよう努めてまいります。