ナマケモノのために ――わたしのBLUNDSTONE

生まれつき私はじっとしているのが大好きで、せかせか動き回ることはあまり好きでない。体質的に外界からの刺戟を好まないのだ。BC級戦犯者の手記に、もうこんな不合理な世界はイヤだから、来世は貝か何かに生まれ変わりたい、という言葉があって、私を感動させたが、私は来世ももちろん人間を望むけれども、どうしても人間以外の動物ということなら、やはり貝類がいい。植物ならまず蘚苔類。鉱物なら深山の滝なんかに生まれ変わりたい。滝なんかエッサエッサと働いているようだが、眺めている分には一向変化がなく、つまり岩と岩の間から水をぶら下げているだけの話である。忙しそうに見えて、実にぼんやりと怠けているところに、言うに言われぬおもむきがある。私は滝になりたい。

梅崎春生「怠惰の美徳」

こんにちは。スタッフ柴田です。

買ってから一か月くらい履いた僕のBLUNDSTONEです。ご覧ください。

手前が新品、奥が私物

まだまだのっぺりとした印象ですが、それでもちょっと履きジワが入って、うっすら表情は出てきているのではないでしょうか。

こんな生後間もないヒナみてえなBLUNDSTONE見たっておもしろくもなんともねえよって方のために、こちらもご案内いたしましょう。

タップでご覧いただけます。

以前、銀座店の坂本氏が「BLUNDSTONE買うとそればっかり履きますよ」と言っていて、その時は「そんなもんかなあ」と思っていましたが、これは本当です。

服選ぶの億劫だなってとき、これ履いてればたちまち恰好がつきます。

しかも履けば履くだけどんどん味わいがでて、雨の日もへっちゃらなんて靴、他のどこにあるっていうんですかあ?

黒色も買っちゃおうかななんて。

スキがあればいつだってゴロンと横になりたいと思っているのび太くんのような僕にとって、玄関のBLUNDSTONEはまるでふかふかの布団です。

いきものって / めんどくさい / いきものめ / いきものどもめ

いきものって / うらやましい / いきものめ / いきものどもめ

坂本慎太郎「死者より」

今日もわたしはのそのそとBLUNDSTONEに足を入れる。
怠けるのもいいな、この靴となら。

怠惰、この悪徳の果実。
ぜひ皆さまもご賞味あれ。

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柴田辰吉