週刊ZABOU「H by FIGER(エイチバイフィガー)/ーMADE IN JAPANで作る、妥協なきAMERICAー」

アメリカントラッドを代表するアイテム「ボタンダウン」。
ただ襟元にボタンが付いただけの亜流は数あれど、本物のボタンダウンとは何だろう。

半世紀近くインポートものを扱ってきた人物が作るボタンダウンにこそ、その答えはあるのではないか、と我々は考えた。
日本に洋服が入ってきて数十年。培ってきた技術と、日本人の考えるトラッド思想が今、新たな形を生み出す。

良いジャケットやパンツには、それに負けないシャツが必要。そんなボタンダウンシャツの代表格に、是非オススメしたいのがH by FIGER(エイチバイフィガー)。
今回週刊ZABOUでは野澤代表にお話を伺った。

ーH BY FIGERというブランドを立ち上げるまでー

—ブランドを立ち上げるまで、どのようなお仕事をされていましたか?

野澤氏「44年ほど前、インポートを扱う貿易商社で働いていました。主にアメリカのLevi’s、Lee、Wrangler、Hanes、Championなどを扱っていました。今もその頃付き合いのあったアメリカのスタッフ達と輸入の仕事もしています。」

—影響を受けたファッション(ブランド)は?

野澤氏 「10代の頃、アメリカントラッド、アイビーと出会い、その頃見たファッションが一番影響を与えています。父親に貰ったお小遣いを握りしめ、 大阪の堺にある※VAN SHOPに買いに行っていました。その頃のファッションリーダーはVANの店員さんでした。様々な知識を教えてもらいましたね。」

※VAN SHOP= かつて1960年代から1970年代にかけて一世を風靡した、日本のアパレル企業「ヴァン・ヂャケット」。その旗艦店。1950年代よりアメリカンカルチャーを取り入れ日本にアメリカントラディショナルスタイルを浸透させた。60年代には「アイビールック」や「みゆき族」など流行を作り、T.P.O (Time Place Occasion)という言葉で、着こなしや時々のルール等、スタイル全般をイノベーションしメンズファッションとライフスタイルの文化を築いた。 出典:wikipedia

—今のH by FIGERにもその頃の知識や感覚が生きているんですね。
さて、H by FIGERについてお聞きします。
まずは定番のボタンダウン。こちらはどんな商品でしょうか?

ーブランドの顔、ボタンダウンへの拘りー

野澤氏 「ベースとなるのは1980年代頃までの、ブルックスブラザーズのボタンダウンです。細かいディテールは数ありますが、一番はこの大きめの襟。当時アメリカもののボタンダウンを持っていましたが、欧米人に比べて日本人は首が短く、顔も大きいので、同じシャツを<着て>も<着られている>といった具合でした。綺麗にVゾーンを見せたかった。」

しっかりとロールの出る襟元。クラシックなテーラードジャケットを着た時にもバランスが良い。

野澤氏 「また、ボタンの数も通常だと7つボタン。これを6つにして、第一ボタンと第二ボタンの感覚を調整しました。第一ボタンを開けたときにリラックスして見えて、格好が良いんですよ。それに基づき、着たときの襟のロールが綺麗に出るように修正、また肩幅、袖丈、チェスト、すべて日本人に合うように変更しました。」

オックスフォード無地ボタンダウンシャツ ホワイト \10780-

野澤氏 「工場の社長様にも協力いただき、シャツをきちんと<着る>ということを心掛けて作りました。欧米人が着た時のバランスを日本人に作り直しているので、色気があります。」

—色気ですか(笑)

野澤氏 「男性も女性も、色気があった方がカッコ良いと思うんです。いやらしい意味ではなくて(笑)その当時は今までにない作りのシャツだったので、工場の社長さんともだいぶ我儘聞いてもらいましたね~。」

—工夫を凝らし、出来上がったディテールなんですね。襟以外の拘りはどういったところですか?

野澤氏 「着丈にも拘りがあります。若い子がタックアウトするのは良いですけど、私たちみたいなオジサンが出すとどうしてもだらしなく見えるんですよ(笑)そこはタックインでも、タックアウトで着てもカッコよく見えるように、絶妙な着丈に調整しました。」

タックアウトしても綺麗に見える、絶妙な着丈。これ以上短いと、タックインしたときにすぐにパンツから出てくるらしい。

—海外のボタンダウンシャツだと、私達には少し着丈が長すぎたりしますもんね。

野澤氏 「見た目だけでなく強度や着心地も考えています。スリット部分の通称バーッタックには補強の意味があるんですよ。また、襟元の台襟。」

バータック:裾を出し入れする際に、摩擦が起きるので、元々補強を施している。

野澤氏 「ここの部分、ラルフローレンでは四角形なのですが、H byでは少しアールを出しています。襟がしっかりとある分、顎に当たってもストレスの無いように作っています。気持ちよく着て頂けるように考えています。メジャーなブランドではないので、お客様に気に入って頂き、納得して頂ける事を一番に考えています。」

—ザ・ボタンダウンという王道なディテールだけでなく、着心地の良さもあってこその人気なんですね。それでは、今期の新作について解説をお願い致します。

ーこの秋の新作ー

野澤氏 「シャツの新作はシャンブレーです。キャンディーストライプやギンガムは今までやっていましたが、こちらは今回が初めてです。シャンブレーは自分で着てみたいな、というのが一番の理由です(笑)」

今季入荷予定:シャンブレーボタンダウン。

野澤氏「シャツを作る上で、まずは最初に合わせるボトムスを想像します。ZABOUさんで言えば、RESOLUTEやBARNSTORMERに合うシャツを自分で考えた結果、大人のシャンブレーが浮かびました。

—生地感も、想像していたシャンブレーとは違って、少し柔らかいですね。

野澤氏 「香ばしさの感じられるシャンブレー。少し薄手で、ジャケットのインナーに着ても、タックインして一枚で着てもカッコ良いシャンブレーシャツを目指して作りました。」

ージャケットを作り始めたのはZABOUがきっかけでしたー

—今季ジャケットが3型ありますね。作るきっかけとなったのは?

野澤氏 「実は昔買ったVANのキャメルのブレザーをたまに着ていたのですが、それを見て谷川社長が’’古いの着てまんな(笑)’’と。こんな感じで紺ブレを作ってみたい、というと社長も見てみたいと言って下さり、そのあと自分のジャケットをバラして作るに至りました(笑)」

メタルボタン IVYブレザー  (今秋展開予定)
今となっては珍しいセンター・フックベント。アイビーの伝統的ディテール。

—そんな宝物をバラす羽目になってしまいすみません(笑)

野澤氏「ただ、その現場の声が自分にとって宝物なんです。どういった年齢層が購入されているかが分かりますし。H byでは5年後10年後に着ることのできる、あの頃のジャケットのようなものを目指しています。それをお客様に褒めて頂くのが一番嬉しいですね。」

ーゴルフバッグがデザインのベースとなったー

野澤氏「ブラックウォッチは90年代、アメリカに居た頃にラルフローレンのゴルフライン(POLO GOLF)というブランドがスタートしたタイミングで、そのブースに呼ばれたんです。そこで、洋服は勿論ですが、ゴルフバッグに一目ぼれしてしまって、、、購入したんです(笑)それが今回のジャケットのデザインソースとなっています。」

野澤氏コレクションのPOLO GOLF ゴルフバッグ

野澤氏「生地はハリスツイードやムーン社ではなく、今回は日本製のツイードを使用しました。生地の厚みがあるにも関わらず、柔らかく、柄も先ほどのゴルフバッグに近づけたかったので、そういうのを精査した結果、今回はこの生地にしました。」

—ブラックのクルミボタンも鈍い光沢があって良いですね。

野澤氏「もう一つの拘りは、胸ポケットの裏生地を、このようにチーフになるようにしているんです。デートに着て行っても大丈夫なように(笑)形も、他のジャケットよりシェイプは控えめにしていて、ボックスシルエットに見えるようになっています。」

—おぉ!これは渋いですね!もう一つの新作は。。。

野澤氏 「今回はダブルの紺ブレも新たにリリースしました。ベースはラルフローレンとブルックスブラザーズ。」

—アメリカの二大巨頭ですね。

野澤氏 「野暮ったくならないように、シェイプを効かせています。着丈もシングルと比べて少し長めに、お尻が隠れるか隠れないかくらいの着丈にしています。そのくらいの長さが一番カッコ良い。」

ハンドステッチ風のラペル。

—H BY FIGERのシャツやジャケットを着るうえで、コーディネートのポイントはありますか?

野澤氏 「基本的に10年、20年と着る事の出来る、普遍的なデザインのものなので、合わせ方は人それぞれで大丈夫です。様々なボトムスに合わせることのできるアイテムばかりです。ただ、一番良いのは靴はしっかりと磨いたものを履く。これだけでコーディネートの軸となり、とても良く見えます。」

—靴がボロボロだと一気に見え方変わりますよね。ちなみに今日履かれているのは。。。?

野澤氏 「JM WESTONの180です。40年程履いていますかね。普段はタンのものを履いていますが、そちらはオールソール交換。こちらの黒は年に数回しか履きませんので、まだソールは交換していません。」

—40年ですか!確かにお手入れも行き届いて、カーフとは思えない輝きを放っていますね。パンツはこの間のフェアで購入して頂いた、BARNSTORMER(バーンストーマー)のマッカーサーⅡですね。

H by FIGERのボタンダウンシャツに、BARNSTORMERのマッカーサーⅡ。ジャパニーズアメトラスタイル。

H BY FIGERのこれから

—最後になりますが、これからH BY FIGERをどんなブランドにしていきたいですか?

野澤氏「これからも変わらないです。色気のあるものを背伸びせず、妥協しない。BARNSTORMERの海老根さんやRESOLUTEの林さんはボトムスのプロです。それに恥じない、それに負けない、尚且つ色気のある服をこれからも作り続けていきたいですね。」

野澤氏 「日本の物作りは、ラグビーのようなワンチームとなってきております。なのでこれからも妥協のない日本製の商品を、お客様にご提供させて頂きたく思います。」

—野澤さん、本日はありがとうございました。



日本製に拘り、今の時代のスタンダードを行くH by FIGER。
その作りこみ、着心地の良さに、様々な年代の方々にご好評頂いております。
懐かしくも新しい、本物のボタンダウンシャツを。1着あるとコーディネートの幅も広がると思いますよ。
H by Figerというブランドをもっと詳しく…という方はZABOU WEBSHOPまで。

H by Figer ラインナップはこちら。
※ジャケットやシャンブレーボタンダウンなどの新作は9月中旬以降の入荷となります。

本日はこの辺で。ありがとうございました。

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