大人柴田、珈琲をこぼす。

2025.10.29
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「あ。」

茶色い液体が靴にかかる。
少し目を覚ますような、それでいていい匂いが鼻腔をつく。

柴田は珈琲をこぼした。

でもこの大人は焦らない。なぜならJe t'emmène (ジュトメンヌ) を履いているからだ。

Je t'emmène (ジュトメンヌ) JAZZフラットシューズ

撥水革を使用しているこちらは、水も油も弾く加工が施された革。
だからこの大人は焦らなかった。

「ジュトメンヌでよかった。」

よかった。朝から一人の大人が傷つくことが、落ち込むことが無くて。

柴田は珈琲の後片付けを終え、銀座(まち)に繰り出す。
中底が無いことによって屈曲性の良いソールがどこへでも連れて行ってくれる感覚。

目的地も無いのに、柴田は不思議と前へ進み続けた。

ここである言葉を思い出した。

「ジュトメンヌ、ってどういう言葉か知ってる?え?知らない?
意味はね‘‘連れていってあげる‘‘なんだ。大人な君を、ジュトメンヌは何処へ連れて行ってくれるんだろうね....」

どこへ連れて行ってくれるのか。柴田にもわからない。
大人になっても分からないことは山ほどある。その山の中に、ジュトメンヌが何処へ連れて行ってくれるか、が柴田のリストに加わった。

それからジュトメンヌは柴田をあらゆる場所へ連れて行った。
近所のスーパー、銭湯、ディズニーランド、潰れているのか営業しているのかもわからない商業施設....

カフェに入った柴田は思った。

「何処へ、じゃないんだ。何処までも、なんだ。」

その瞬間

カップが倒れる音がした。

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この記事を書いた人 坂本
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