大人柴田、一張羅の選択。A VONTADE(アボンタージ)
日差し。
それがあろうとなかろうと、この時期が肌寒くなっていることは誰しも分かっている。
国道15号線の歩道の縁石のみを橋のように渡っているこの一人の男、大人もそう。
柴田は肌寒さを覚えていた。
「風が、寒いな。」
10月も半ばに入り、秋が少なくなった、とかなくなった、と言われる今のこのご時世。街には肌の面積が減り、風も気温も街も彼の懐に入れているおかかおにぎりも保冷剤が必要ないくらい、冷たくなってきた。
風が吹く。
すると柴田は縁石の上でバランスを崩しながら脇に抱えていたジャケットに手を伸ばした。
A VONTADE(アボンタージ)Melton Driving Jacket

しなやかさと軽さを重視したミドルウェイトのメルトン生地を採用。
総裏仕立てで真冬まで着用可能。そしてどこか大人な表情。この点、大人である柴田とどこか合致するところがあった。
「メルトン。落ち着きと耽美なる響き。その名を呼ぶだけでも心に色がつく。今の俺はもうとがっていない。戯曲も創らないし、かわいい靴下はいてこ~としている」

「そんなやわらかさがある俺にこのジャケットはピッタリなんだ。A1レザージャケットから着想を受けたデザイン。普通ならこれをレザーだと思うだろう。しかし、異なる。メルトン素材の柔らかさと軽さ。今の俺にはこの柔らかさと軽さが合う。」

ブルゾンらしい丸みのあるシルエットは、カジュアルにもタイドアップにも馴染む。
まさに“今の柴田”にちょうどいい一張羅だった。

「ずっと背伸びをしていたけれど...今の俺は落ち着いて、モダンな道を歩きたい。一緒にいたい、月明かりの道標。合体。」
タッパが185もあれば背伸びする必要があるのは電車の天井広告を張り替えることくらいしかないと思うが、柴田にとって背伸びとは物理的な尺度で測れない、もっと、もっと違う座標での話なのだろう。
ようやく縁石から降りた柴田はまっすぐいく。
まっすぐ、人のいる街へと。
