前回のBRENAのGARDIのブログを書いた際、
「ドレスとカジュアルの両側面」を持つ洋服について魅力を再確認したが、ここの洋服にも似たシンパシーを感じる。
ワークやミリタリーの要素は残しつつ、少しバランスを変えることにより、絶妙に今の気分に寄り添う。
普遍的でいてモード。一見、矛盾が生じているようでいながら、実現しているから面白い。
ARANの洋服はそんな魅力があり、「今」だけで留まらず年数が経っても新鮮な心持ちで着用することが出来る。
数年前、ミリタリーウェアが一時期爆発的人気を誇っていた。命を預ける衣服だからこそ、機能的でいて無骨。
もうそろそろメインストリームからは外れるが、洋服好きとしてはここからが本番。
皆が着なくなってから「あれ?これどこの?」と聞かれる。決して一過性のものではない、普遍的な魅力がそこに詰まっている。
一時期、モッズコートを見かけない日はなかった。アメリカ軍のM-51やM-65。フィッシュテールのこの辺り、モッズパーカーと呼ばれるモデルだったが、
今回紹介するアウターは、珍しいスウェーデン軍のM-90というコートがモデルになっている。

かなりゆったりとしたサイズ感と、しっかりと詰まった中綿。
都会ではややオーバースペックでいて、S-Mサイズ相当のサイズは出てこない。
そんな難易度高めなミリタリーパーカーをARAN流にアレンジしたのがSWD PARKAだ。
ARAN(アラン) SWD PARKA PROTEX RIPSTOP

ARAN(アラン) SWD PARKA PROTEX RIPSTOP ¥52,800-
実物に比べると、ややスッキリとしていながらボリューム感はあり、着丈も90センチオーバー。
ミリタリーパーカーでありながらもエレガントな印象を受ける。
ブランドが10年以上展開する名作アウターで、これまで大きなモデルチェンジを行っておらず、
そういった背景から、10年経とうが、20年経とうが、新鮮さと安定を兼ね備えたフレッシュなコンディションで着用することが出来る。
今年はARANのアイテムを毎年よりも型数を増やし、別注商品も多くリリースしたが、
その中でもSWD PARKAは自分が入社する前からも取り扱いのあったアイテム。

何度かリリースされていた頃の生地を見ていると、コットン×ナイロンのグログラン、塩縮加工を施したバリっとした生地感がこのコートの魅力を十二分に引き出していた。ただ、店頭で展開していた頃に比べて、気候も変化し、便利なものが世の中には増えた。
インナーダウンなどを含む、薄綿のアイテム。ある程度風が防げる素材でいて、身幅が広めのアウターは中にそうしたアイテムを着込むことによって寒さを凌ぐことが出来る。それなら生地感も柔らかく薄い方が理にかなっているのでは?とラグランスリーブのコートは薄手のベンタイルに変更。

ARAN(アラン) GB RAGLAN COAT VENTILE 24aw ¥51,700-
よりドレープが出てインナーのチェックがさながら英国のステンカラーコートのようだ。

今回SWD PARKAに採用したのは耐火性のあるPROTEX RIPSTOP。
元々この生地の耐火性に魅力を感じていた訳でなく、雰囲気のある色合いのリップストップで、気に入った生地がたまたまコレだったという話。
軽い雨なら防げる他、柔らかく滑らかなリップ生地は、Aラインのコートにドレープを与える。

今季はインナーベストの他、アウターの上に着用できるベストもあるので、こういったコーディネートも面白いと思う。

●ベスト N.O.UN(ナウン) サイズ:L ¥27,500-
●コート ARAN(アラン) サイズ:1 ¥52,800-
●ニット Harley of Scotland (ハーレーオブスコットランド) サイズ:40 ¥19,800-
●パンツ ARAN(アラン) サイズ:1 ¥27,500-
●その他 私物
モデル 身長160㎝ 体重60㎏ 足のサイズ約25㎝



合わせたパンツはこちらも昨年リクエストして作って頂いたDP-3 ブラックデニム。
スウェーデン軍ベースのミリタリーコートと合わせるモッズライクな着こなしは、定番でいて嫌味がなく、それでいてモダンだ。
ステッチが表面に出てこないとは言いつつ、これだけ穿いているとやはり色落ちもしてくるもので。
穿きやすい生地感と、合わせやすいステッチレスジーンズは、とても安心感があり、毎回新鮮な気持ちで着用できる。
この何てことない、90’sみたいな色落ちも気に入っている。
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こういったクラシックなミリタリーやワークをモチーフ(またはオリジナル)にした洋服を買う選択肢の中に、
「オリジナルがいい」、「忠実に再現したレプリカが欲しい」、「雰囲気を感じる程度のライトな物が良い」など、
物を選ぶ基準も人それぞれ。ARANの洋服はそのどれもに当てはまらない不思議な魅力があると思っている。
価格、品質、再現度。それ以外の目に見えない部分に現れる、洋服本来の力を体感して見て欲しいと思います。