週刊ZABOU「東洋が作る、アメリカ。/BUZZ RICKSON’S 2022AW」

今季よりお取り扱い開始となったBuzz Rickson’s。東洋エンタープライズが展開するウェアブランド。
実は我らがボス、谷川が取り扱いを決めたのでした。

「取り扱い始めた理由は、至ってシンプルです。本物以上に本物が作れる技術を持ち合わせているメーカーだからです。手元に残して置きたい逸品を取り扱いたい思いで決めました。」

そもそも、Buzz Rickson’sとは…?

BUZZ RICKSON’S(バズリクソンズ)とは、1993年に誕生したフライトジャケットの歴史と誇りを追求するブランド。その復刻作業は当時のMIL SPEC(軍用という過酷な環境に耐えうるよう定められた規格)に基づいたもので、糸の紡績から織り、生地の素材、各部の軍用パーツ、全体のフォルムに至るまで徹底的にこだわり、一着一着にクラフツマンシップを込め、ヴィンテージのフライトジャケットが持つ魅力を再現している。

Buzz Rickson’s HPより引用。

谷川「これはBuzz Rickson’sの製造元「東洋エンタープライズ」さんの仕事っぷりを同業他社の方から聞いた話ですが、チノパンの製造の際に通常は「左高(ひだりだか)」と言い腰からお尻に掛けての縫い合わせる部分は(腰⇒お尻)の方向に縫い合わせるのですが、米軍のチノパンは「右高(みぎだか)」(お尻⇒腰)に向けて縫うそうで実際に工場のラインをその順番に組み替えてまで忠実に再現するという方法を採用していると聞き、驚愕したことがあります。」

今回、ファーストシーズンという事で、アウターから先に入荷しております。
3型のご紹介を、順番に見ていきましょう。

Type MA-1 “ALBERT TURNER & CO., INC.

BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ) Lot No. BR14900 / Type MA-1 “ALBERT TURNER & CO., INC.”  ¥75,900-

数あるフライトジャケットの中で最もポピュラーで、かつ最も息の長い存在がMA-1である。MA-1の開発は1950年代初めに開始されたがベースとなったのはそれまでの正式フライトジャケットの座にあったB-15シリーズである。B-15は1943年に登場したコットン製のB-10を改良発展させたもので、めまぐるしい技術革新や軍用機の発展に呼応しつつ変貌を遂げてきたのである。

今回お取り扱いのモデルはライニング(裏地)がオレンジではない初期のモデル。
今日まで様々なメーカーがモディファイしたMA-1というフライトジャケットの最初期のモデルにあたる。

36本の長繊維を一本の糸にした、ヘビーナイロンツイルという頑強な生地を使用。経70デニール、緯200デニール(デニールは繊維の太さを表す単位で、9,000mで1gの重さがあるものを1デニール)で構成されている。またその生地の密度は、1平方インチ(6.45平方センチ)に縦240本、横80本の糸で織られており、強度と適度な柔軟性のある生地に仕上がっている。

ヴィンテージにも見られるクラウンジップは、Buzz Rickson’sが復刻したもの。
このように副資材までも手抜かりなし。

そうして誕生したMA-1はフライトジャケットの襟を取ると言う最も大きな改良を加えられたモデルで、その背景にはジェット機が開発されそれまでの航空装備の見直しを迫られたからであった。1957年に採用以来、1976年にCWU45/Pが登場するまでアメリカ空軍将兵によって愛され続けた。その間には細かい改良が加えられ、より完成度の高いものとして発展を続けてきたのは言うまでもない。そのスタイルはファッションの世界にも大きな影響を与えており、もはやミリタリーの範疇を大きく超えた存在となっている。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)  サイズ:S  ¥75,900-
●ニット St.James(セントジェームス)  サイズ:S  ¥26,400-
●パンツ BARNSTORMER(バーンストーマー)   サイズ:S  ¥31,900-
●帽子 LAULHERE(ロレール)  サイズ:59-9  ¥15,400-
モデル 身長160㎝ 体重60㎏ 足のサイズ約25㎝

綺麗目に着るならウールのスラックスなどは如何でしょうか?
ジャケットはセージですが、ややグレーがかっているので、グレーのボトムスには好相性。

ディテールが複雑な分、余計な組み合わせは野暮です。

少しネックが立ち上がったセーターなんかも良いでしょう。
アーミーセーターやマリンセーターなどのどこか男臭さのある洋服が、武骨なシルエットにも合う。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)  サイズ:M  ¥75,900-
●スウェット Jackman(ジャックマン)   サイズ:S  ¥17,600-
●デニム RESOLUTE(リゾルト)  サイズ:31×28  ¥25,300-
●その他 私物
モデル 身長160㎝ 体重60㎏ 足のサイズ約25㎝

王道のデニム×スウェットのアメカジは普遍的。
ただ、あの頃の2インチアップのデニムも良いですが、細めの綺麗なシルエットのRESOLUTEや、
リバースウィーブではなく、日本製の綺麗なスウェットが今の気分では?

しっかりとアームも太いので、細めのデニムとのコントラストが綺麗。

そのクオリティの高さから、現在ではフライトジャケットのみならず、ミリタリーベースの洋服全般を手掛ける。

Type M-65 (NO HOOD)

BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ) Lot No. BR14719 / Type M-65 (NO HOOD) ¥46,200-

M-51パーカーの後継モデルとして採用されたのがM-65パーカーである。M-65フィールドジャケットと混同される事があるが全く別のものである。M-51パーカーでは表地は厚手のサテン地を使用していたが、M-65パーカーでは軽量で丈夫なコットンとナイロンのオックスフォード織りが採用された。また、この素材は湿地帯での活動で濡れても乾きやすいという利点もあった。

ディテールに於いての変更は、M-51パーカーではフードと身頃と一体であったが、M-65パーカーは脱着式となり、このモデルではフードを排除。通称“フィッシュテール”と呼ばれる背中の裾が燕尾服の様に切り込みが入っている仕様はM-51パーカーから継承されており、これは前身頃と後身頃の裾から出たコードを股の下で結び、暖かい空気を密閉する為であった。

ヴィンテージでは今後もう見ることができないとまで言われているM-65も、Buzz Rickson’sにかかれば、可能なまで忠実に(副資材も含めて)仕上げている。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)   サイズ:M  ¥46,200-
●ニット Rinascente(リナシェンテ)  サイズ:48  ¥17,380-
●パンツ RESOLUTE(リゾルト)  サイズ:30×31  ¥24,200-
●スカーフ Johnstons(ジョンストンズ)  ¥25,300-
●シューズ SANDERS(サンダース)  サイズ:UK7.5  ¥49,500-
モデル 身長175㎝ 体重65㎏ 足のサイズ約26.5㎝  

存在感のあるフィッシュテールは、ステンカラーコートを羽織るイメージで、
セーターとストール、レザーシューズで男臭さを打ち消すのも良いです。

スタンドカラーなので、襟元の足し算も決まりやすく、
丸首、JOBSネック、タートル何でもござれ。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)   サイズ:M  ¥46,200-
●スウェット Camber Ⅱ(キャンバー・ツー)  サイズ:M  ¥15,840-
●パンツ LEVI’S(リーバイス)   サイズ:32×30  ¥14,850-
●シューズ MOONSTAR(ムーンスター)  サイズ:27㎝  ¥12,100-
モデル 身長175㎝ 体重65㎏ 足のサイズ約26.5㎝  

逆に王道でいけば、CAMBERのチルバスター、LEVI’Sなんかもハマります。

しっかりとゆとりのあるバランスなので、中にこれだけ着込んでも着ぶくれしないので嬉しい限り。
今風にモディファイしたものとは違っている分、着こなしの数は更に広がります。

PEA-COAT “NAVAL CLOTHING FACTORY”

BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ) Lot No. BR11554 / PEA-COAT “NAVAL CLOTHING FACTORY”  ¥60,500-

俗に“ピー・コート”と呼ばれるコートの原型は、18世紀には存在していたとも言われている。名称は、オランダ語の“Piijekker(ピーイエッケル)”を英語にした物で“Pii”が粗い毛織り物、“jekker”がジャケットから由来している。

ヨーロッパ諸国でもピー・コート型のコートが幾つかの軍で採用されてきたが、今回のこのピー・コートは、アメリカ海軍が下士官用コートとして採用した1910年代のものである。1910年代のピー・コートの特徴は、高密度の分厚いメルトンウール素材を用いていることと、アメリカの国章を表す13個の星が彫刻されたアンカーボタンが付くことである。この13個の星は、1777年にアメリカが合衆国として独立した時の州の数が13であったことに由来している。アメリカ海軍がピー・コートを採用した正確な時期は不明だが、第一次大戦当時の服装規定には既に下士官用コートとしてオーバーコートが掲載されていた。

圧縮ウールのメルトンはこれでもか、と言う程打ち込みを強くしている。
しっかりと重さを感じる反面、ウール製品なのに風を全く通さない。
海に生きる男のためのコートである。

ラベルは1940年代に実在したNAVAL CLOTHING FACTORY。
実際にこの年代のピーコートの実物を見たことがありますが、兵士の個人番号が打たれていたりと、古着の魅力は存分に感じられますが、
1からご自身でヴィンテージを作り上げられる、という点も良いかと。

襟が大型なのは海上で作業する際、襟を立てて顔を覆い、強風対策を十分に確保出来るよう設計されている。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)  サイズ:40 ¥60,500‐
●ニット Rinascente(リナシェンテ) サイズ:50 ¥38,500‐
●パンツ 私物
●シューズ 私物
モデル 身長185cm 体重72kg 足のサイズ約29cm

海の臭いのする男のピーコート。
ケーブル編みのセーターとの相性も勿論、スラックスにも対応する大人の男にこそ着てほしいピーコートです。

●アウター BUZZ RICKSON’S (バズリクソンズ)  サイズ:40 ¥60,500‐
●ニット Camber Ⅱ(キャンバー・ツー) サイズ:M ¥15,840‐
●パンツ JAPAN BLUE JEANS(ジャパンブルージーンズ)  サイズ:32 ¥24,200-
●シューズ 私物
モデル 身長185cm 体重72kg 足のサイズ約29cm

その反面、デニムにパーカーなどのラフなスタイルにこそ、このコートの存在感は発揮する。

僕たち20代後半には、なつかしさのあるピーコート。
10年周期で流行りは回りますが、この手のコートはそういった所とは関係なく、大切に着てほしいアイテムです。
重厚感のある見た目は、さながらレザー。
きっと何年もかけて馴染ませる楽しみもこの一着ならではかと。



どのアウターも本物に忠実に近づけた代物。
レプリカという点では、他のメーカーにも似たようなものはあれど、ここまで近づけられるのは東洋ならでは。
素材から縫製、副資材にまで拘り抜いた逸品に、是非袖を通して見てください。

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