Russell Moccasin(ラッセルモカシン)について (谷川編)

あこがれのラッセルモカシン。

そう、あの日以来ずっと欲しいと思ってた。学生時代にアルバイトをして一生懸命貯めたお金でようやく手に入れる。

家に帰って自分の部屋で飽きることなく履き、色んな角度から眺める。

鏡に映ったジーンズの裾から覗くラッセルを見て思わず溜息が出る。

『ふぅー。なんて素敵な色なんだ。なんてきれいなカタチなんだ。』 何度も履く。眺める。そしてまた履く。

『よーし、ジーンズもいいけど(*)ファティーグパンツに穿き替えよう。』 そう思って靴紐に手をやる。

「靴を履くときや脱ぐときは、必ず紐を締めたり解いたりするように!」お店の人に教わったことを思い出しながら、靴紐を解いた。ゆっくりとした仕草でやるのがカッコいい。しかもテキパキとした手つきで。

『いいぞー!このパンツにもピッタリだ。気に入った。』 コーディネイトを考えているときが一番楽しい。

『雨の日には履かないようにするんだ。一日履いたら一日は休ませるんだ。それから絶対に手入れは休まずに続けるんだ。』 お店の人に教えて貰った通りにミンクオイルを薄くの伸ばすように塗りこんだ。塗っている手がとても楽しい。何だか浮き浮きして歌でも歌いたい気分だ。いつまでも磨いていたいけど・・・・。(**)シューキーパーを入れて手入れは完了。シューズボックスにしまう。

男には何年経っても変わらずに大切にしたいものがある。

(*)ファティーグパンツ・・・べトナム戦争時代のカーゴパンツの総称だがここで指すファティーグはサイドポケットの無いコットン100%のバックサテン地のパンツのこと。軍パン。
(**)シューキーパー・・・靴の形を整えるのと靴中の湿気を取り除くための用具。杉の木で出来ているものが多い。

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