大人柴田、古着に合うパンツを探す。
柴田は古着も愛する。
もちろんサラ着も好きだし、ワードローブに沢山詰まっている。しかし、古着も多く所有している。
そんな中で柴田には悩みがあった。
「古着に合うパンツが欲しい。」
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柴田の好みとしては、古着のトップスに古着のパンツ、というより、サラ着のパンツを合わせてバランスをとったコーディネートをすることだ。
しかし、どうにも手持ちの古着のtシャツと合うパンツが無い。しっくりこないのだ。

まだ暑い日々が続く中で、柴田はtシャツのデザインを目立たせながらコーデが組みたい、そう思っていた。
とりあえず柴田は昨日買ったフランスパンをかじりながら、中央総武緩行線に乗った。
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乗り換えをして着いたのは渋谷。ここのは信頼のおけるパンツ提案の名人、ドラゴンと呼ばれている男がいる。
この男に訊いてみたくなった。どんなパンツなら俺の好みにハマってくれるのかを。

ドラゴンが提案したのは、彼が履いている一枚のワークパンツだった。
UNIVERSAL OVERALL(ユニバーサルオーバーオール) HERITAGE T/C ORIGINAL

「いわゆるオーソドックスなワークパンツ。ただ勘違いしないでほしい。ブランドのこだわりが詰まったワークパンツなんだ。」
柴田、恐る恐る触れる。


すると確かに古着でよく見たワークパンツと異なり、スナップボタンの柄、腰裏の縫製、ベルトループの細さなどの違いを感じた。
「これはどんなパンツなんだ?ドラゴン。」
「ブランド生誕100周年を記念して作られたヘリテージラインの一本。歴史あるブランドでリアルワーカーからも支持され続けているだけあり、作りが良い。先ほど見てもらったオリジナルスナップボタン、千鳥縫いといったディテールもそうだが、生地感と形がまさに大人の為って感じだ。形が綺麗だから、サイズアップもおすすめだ。」

ドラゴンの勢いのある説明。まるで火を噴いているようだ。
細部までトラディショナルな仕様に拘っているだけでなく、ワークパンツなのにどこか上品さを感じさせる生地感と形。もちろんワークパンツなのでキレイ目なアイテムではないが、柴田はこれに惹かれた。
「ベタだが、古着Tシャツともちろん相性の良いワークパンツ。気に入った。36の黒。これをもらおう。」
柴田は黒が気に入った。
ドラゴンは文字通り火を噴きながら柴田を見送った。
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帰り。センター街の途中で紙袋の中身が気になって仕方なかった。
柴田はたまらず渋谷駅のトイレで着替えた。

●ボトムス UNIVERSAL OVERALL(ユニバーサルオーバーオール) サイズ:36 ¥14,300-
●シューズ SANDERS(サンダース) ¥68,200-
モデル 身長184cm 体重60kg 足のサイズ27.5cm
アメリカっぽいビビッドカラーの古着tシャツとワークパンツの組み合わせ。足元は革靴。土臭さがあっても男らしくて良いが、大人柴田は大人。大人っぽい、少し上品だけどカジュアルな。そんなコーディネートができた。
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空がまだ明るい。時計は確認しない。
日がまだ長い季節なのを感じるだけで良い。
柴田はトートバッグから取り出した残りのフランスパンをかじりながら改札に入った。
残高不足だった。
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