「パンツを仕立てるということ。」パンタロナイオ・尾作隼人氏を訪ねて

2026.09.18
BlogEvent

先日ご案内いたしました、ZABOU銀座店にて10月3日(土)・4日(日)の2日間で開催の「Eminento by H.Osaku TRUNK SHOW」。

今回のイベントでは生地やシルエット、ディテールを選びながらご自身に合わせた一本をオーダーしていただけます。
そして10月3日(土)は、パンタロナイオの尾作氏にもZABOUへお越しいただきます。

今回のトランクショーを前に、私たちは尾作氏のアトリエへお邪魔してきました。

普段、どのような場所でパンツが作られているのか。
そもそも「パンタロナイオ」とはどのような仕事なのか。
そして、なぜパンツというひとつのアイテムを専門に仕立てるようになったのか。

実際の仕事場を見せていただきながら、いろいろなお話を伺いました。

EMINENTO by H .Osaku(エミネントバイエイチオサク)

昨年より取り扱いがスタートしました、「EMINENTO by H .Osaku(エミネントバイエイチオサク)」

1949年にスラックスの専業メーカーとして創業のEMINENTO(エミネント)と、パンツ専門テーラーの“尾作隼人”氏と2022年からスタートしたスラックスパンツのブランドとなります。

「世界のスタンダードスラックス」を目指して仕立てられたパンツは、オーダー品のようなフィット感と美しいシルエットで、一度穿いたらきっと虜になってくれると思います。

尾作隼人とは?

パンツを専門に仕立てる「Pantalonaio(パンタロナイオ)」として活動する尾作隼人氏。

学生時代に服飾を学ぶ中でテーラーという仕事に興味を持ち、その後は学校を離れ、新宿のオカダヤで服飾資材に触れながら独学にて技術と知識を深める。その後、銀座「壹番館」にて修行を重ねて2007年独立。

現在は自身のアトリエを構え、一人ひとりの体型や好みに合わせたパンツの仕立てやフィッティングを中心に活動。
ウエストやヒップ、ワタリといった寸法だけでなく、穿いたときのシルエットや全体のバランスまで見ながら、その人に合った一本を作り上げています。

「パンツをやろう」と決めていたわけではなかった。

もともと、最初からパンツ職人を目指していたわけではなかったという尾作氏。
まず最初にお聞きしたのが、「なぜ、パンツというアイテムにフォーカスされたのか?」
そこで返ってきたのは、少し意外な言葉でした。

「いや、たまたまなんですよ。」

現在はパンツ専門の職人として活動されていますが、最初からパンツだけを作ろうと決めて、この世界に入ったわけではなかったそうです。

オカダヤで働いていた頃は、仕事をしながら独学で洋服作りを学び、友人のために服を作ることもあったそう。
その後、銀座「壹番館」で修行を始めてからも、元々はパンツ職人を目指していた訳ではなかったのだとか。
そこからいくつものきっかけが重なり、パンツに携わる事に。
それからは日々の仕事を終えた後に時間を作り、自ら練習を重ねて技術を磨いていきました。

今の尾作氏の仕事だけを見れば、パンツ職人というひとつの道を真っすぐ歩んできたようにも見えます。
ですが実際には、いくつもの出会いやきっかけが重なり、その都度目の前の洋服作りと向き合ってきた先に、現在のパンタロナイオという仕事へとつながっていったのだと感じました。

壹番館時代に1本だけご自身で製作したパンツを見せてもらいました。

実際に仕立てられたパンツを見せていただくと、その仕事の細やかさがよく分かります。

たとえば、生地の角をあえて丸く処理しているのもそのひとつ。
角はどうしても傷みやすいため、丸みを持たせることで負荷を分散させて長く穿けるように考えられています。
ファスナーの縫い付けひとつを見ても、非常に丁寧で美しい仕上がり。
さらにマーベルトの芯地の処理や縫製に至るまで、細かな部分はすべて手まつりで仕上げられています。

表から見ただけでは分からないところにこそ、職人としての技術とひと手間が詰まっている。
こうした仕事を積み重ねながら技術を磨き、このパンツを以って尾作氏は本格的にパンツ職人としてのキャリアを歩み始めます。

シルエットについて

続いて聞いたのが、パンツのシルエットについて。

パンツを選ぶとき、私達は細いや太いなどといった言葉で表現することが多いですが、実際にパンツを作る側から見るとそれだけではないのだとか。

腰回りの収まり方をはじめ、股上は身体の突起との位置関係を見ながら決め、ヒップからワタリにかけての分量、膝の位置、股繰りの大きさまで細かく調整していきます。

そうした一つひとつの要素の積み重ねによって穿いたときの見え方や全体のバランスが決まり、一本のパンツの表情が生まれていきます。

体型とシルエットの相性について

体型によって、似合いやすいシルエットはあるのか。

尾作氏によると、必ずではないがやはり相性はあるとのこと。

例えばアウトプリーツはプリーツの起点が比較的外側にあり、そこからまっすぐ下へ落ちていくのが特徴です。
プリーツとベルトのラインによって腰回りにクリーンな四角い面が生まれ、全体としてフラットで無機質な印象に見える。
ノープリーツに比べてプリーツによる陰影が生まれるため、デザイン性を持たせながらもすっきりと穿くことができます。

特に腰の張りが強くない方は、アウトラインがよりまっすぐに見えやすく相性が良いそうです。
尾作氏自身もアウトプリーツを愛用しており、長く惹かれてきたイタリア的な表現やプリーツそのものの美しさも、この形の魅力として挙げられていました。

一方のインプリーツは、プリーツの起点が比較的内側にありそこからふんわりとカーブを描くようなラインが特徴です。
腰の広がりと並行するように生地が落ちるため、ある程度体型をカバーしやすくカジュアルなスタイルにも取り入れやすい。王道でありながら、今の気分にも自然と馴染むシルエットなのだとか。

同じプリーツパンツでも、アウトプリーツとインプリーツでは腰回りの見え方や、生地の落ち方が大きく異なります。
体型との相性はもちろん、どのような表情で穿きたいのかによって選び分けるのも面白いところだと思います。

既製品だからこそ出来ること。

尾作氏とエミネントとの出会いは、2008年。
伊勢丹で行われたイベントをきっかけに、その関係が始まったそうです。

以来、長くものづくりを共にする中で、尾作氏がエミネントとの取り組みに感じている魅力のひとつとして挙げてくれたのが、表現できることの多さ。

自身のアトリエで、一人のお客様のために一本のパンツを仕立てる仕事とはまた違い、エミネントと取り組むことで、自分の中にある考えやアイデアをさまざまなシルエットや仕様のパンツとして形にすることができます。

そして、もうひとつ大きいのが多くの方に自身のものづくりを届けられるということ。
現在、尾作氏のビスポークは完成まで約2年待ち。
さらに新規のオーダーについては、現在受け付けていないとのことでした。
つまり、尾作氏が手掛ける一本を手にする機会は、今ではごく限られたものとなっています。

だからこそ「EMINENTO by H.Osaku」という形であれば、これまでビスポークに触れる機会のなかった方にも、自身が考えるパンツを手に取っていただくことができる。
より多くの方に穿いてもらえることは、尾作氏自身にとっても嬉しいことだと語っていました。

ビスポークと既製品。

一見すると相反する二つのものづくりですが、その両方に携わる尾作氏だからこそ、「EMINENTO by H.Osaku」というパンツに表現できることがあるのだと思います。
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シルエットやフィッティングはもちろん、縫製やアイロン、穿き込んだあとの変化まで。
普段何気なく穿いているパンツにも、これだけ多くの考えや技術が詰まっているのだと、改めて感じる時間となりました。

実際に身体を見てもらいながら、自分にはどんなシルエットが合うのか。
どんな生地で、どんな一本を作るのが良いのか。

ぜひ直接相談しながら、自分だけの一本を作る時間を楽しんでいただければと思います。

10月3日(土)・4日(日)、皆さまのご予約、ご来店を心よりお待ちしております。
※3日(土)は満席となりました。

Eminento by H.Osaku(エミネントバイエイチオサク) TRUNK SHOW at ZABOU

開催日
2026年10月3日(土)・4日(日)

開催場所
ZABOU銀座店4階

在店予定
EMINENTO ディレクター 後藤氏:10月3日・4日
パンタロナイオ 尾作氏:10月3日のみ

所要時間
お一人様 約40分

価格
¥40,000-~¥60,000-
※生地や仕様によって価格が異なります。

納期
2026年12月中旬頃のお渡し

ご予約について

当日はお一人おひとりゆっくりと生地選び、フィッティングをお楽しみいただけるよう、事前予約制とさせていただきます。

下記予約フォームより、ご希望の日時をお選びください。

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この記事を書いた人 高橋
ZABOU大阪店スタッフの高橋です。 『TAKE IVY』でここまで大きくなりました、アメトラ大好き青年です。 皆さまどうぞ宜しくお願いします!