Loquat Sports Wear(ロクワットスポーツウェア) ネルシャツ(’09)

『チーズ・バーガーズ』1986年(著者:Bob Greene)という本をご存知だろうか?!

彼はコラムニストとして「アメリカ」を描いた。それは平凡な日常だったり、日々起こる事件のルポルタージュだったり、親子や友情の絆といった所謂ベタな物語りなんだけど、時に胸を詰まらせる章もあり読むものを楽しませる。だから何だか尤も『普通な』アメリカを象徴してる様な気がする。

当時、大学生だった僕はアメリカや世界中を駆け巡る男に憧れていた。好きなTV番組はすかさず『プロジェクトX』と答えられるくらいに。

それから何年か経って結果的に世界を飛び回ってはいないが、1998年にフランスで野暮ったい日本人を紹介してもらった。古着の仕事でディーラーとして働いてもらう為に。彼は、現在は有名なレディースのデザイナーブランドの社長さんだが、当時は茫洋とした感じの雰囲気で包まれていた。というよりも、外国での生活が長いせいか小さな事には一向に構わず見向きもしなかった。古着の仕事は細いところまで非常に慎重を要する内容がたくさんあるにも係わらずマイペースだった。これが僕たちをイライラさせたが彼は一瞥をくれるだけで結局何もしなかった。

そんな彼に初めて出逢ったときに彼が着ていたのがJ.C.Penny社BICMACの『ネルシャツ』だった。1970年代製のものであろうそのチェック柄はBICMACのものとひと目で判断できるほど素敵だった。粗い木綿のネル地にバイアスにとったポケット。粗末なプラスチックのボタン。大量生産がもたらした工業製品としての『ネルシャツ』 年月を経て襟や袖の擦り切れた感じは独特のものだ。

パリの郊外にある古着の大きなレンガ建て倉庫の前で、彼はどこを見るでもなくタバコを吹かしてた。セーヌ川沿いの辺鄙な街で見るBICMACは格別だった。あれほど個人主義であり、個人の主張が強い国で自分のアイデンティティーを保っている日本人をむしろ誇りに思った。

今も擦り切れた『ネルシャツ』を見るたびに川から吹き上げる風にタバコの煙が揺れてた風景を想いだす。
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Loquat Sports Wear(ロクワットスポーツウェア) ネルシャツ(’09)  カラー:左上から時計回りに、レッド、ブラック、ブラウン、ブルー  サイズ:38R、40R、42R  プライス:¥8295-

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