僕がはじめてortega’s(オルテガ)をみたのはいまから19年前だ。
当時、某セレクトショップでアルバイトをしており、そこの会社の社長さんが買い付けて持って帰ってきたものだった。その社長さんはセレクトショップ以外にもギャラリーのような店を持っていて、そこで当時では珍しい和食器と絵画や写真集、それにこのortega’s(オルテガ)なんかが置いてある一風変わったお店だった。
そこの社長さんは先見の明があると言われていて、どんなものでも流行の前にいち早く取り入れていた。だから後日それが流行っても特に驚いたりはしなかった。
毎日が刺激の連続で僕はアルバイトといえども週5か週6で働かせてもらってた。最高に楽しいひと時だったと記憶している。
そのショップのフィッティングの中にはいつもortega’s(オルテガ)のラグが敷いてあって、いまなおZABOUのフィッティングにortega’s(オルテガ)のラグが敷いてあるのもそのせいである。
当時(1988年)、社長はアンディーウォーホールの影響を強く受けていたと思う。
アンディーウォーホールと言えば、いろんなものの収集癖があったそうで、その収集したものが段ボール箱で数千箱あったといわれるから驚く。そのお宝のひとつにこのortega’s(オルテガ)もあったそうな。
Ortega’s(オルテガ)とはアメリカ、ニューメキシコ州のチマヨというところにある織物屋さんだ。先住民族であるインディアンの血を引く彼らが伝統を守りつつ織り続けているのがチマヨの織物だ。インディアンジュエリーなどと同じく、この織物の中にチマヨもあればナバホもある。
後日、僕が何度もこのナバホやチマヨの地を訪れたのは偶然ではない。そのセレクトショップの先輩スタッフに(今は某メーカーを経営されていて日本でも指折りのインディアンに造詣の深い方だ。)案内していただいたこともある。当時いろいろ教えていただいたことがいま役に立っていることは言うまでも無い。
あのラルフローレンもアメリカの先住民族(ネイティヴアメリカン)のスタイルに敬意を表していて、彼の好きなスタイルやコレクションの多くにいつも見受けられる。
単に物として見てしまうと民族衣装になりがちだが、自分のスタイルの一部として取り入れれば老若男女すべての方から受けが良かったりする(笑)。このスタイル作りをzabouと一緒に考えてみませんか?というのが今回の試みでもある。
決して安い買い物ではないので慎重を要するが、何そこは男の子「やるときはやる」その一言でOKだ。身に着けるとそれがよく解る。彼女でも自分のものになってはじめてその価値を知るというか。
僕はこのortega’s(オルテガ)に出会えて洋服人生に奥行きが出たと本気で考えている。
※先の文章中にOrtega’sやチマヨの織物屋さんが「先住民族であるインディアンの血を引く彼ら」と表記しておりますが、正しくは「スペイン系の末裔」でございますのでここに加筆修正させていただきます。ワタクシの勉強不足をお詫び申し上げます。すみません。
1997/11 MEETS